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 ティッチ

2006-09-30

ティッチ  パット・ハッチンス/作、絵 石井桃子/訳
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<どんな絵本?>
 ティッチは、ちいさな 
 おとこの子でした。
 
 ティッチには少し大きいメアリというお姉さんと、ティッチよりずっと大きいピートというお兄さんがいます。
 末っ子のティッチの持っているものは、いつもピートやメアリよりも小さいのです。
 あるとき、ピートは大きなシャベルを持っていて、メアリは大きな植木鉢を持っていました。ティッチはとても小さな種を持っていました。
 ところが、その種は芽を出してぐんぐん大きくなり、とうとう3人の背丈よりも大きくなりました。

<初めて読んだ2才4ヶ月のヒメの反応>ティッチが寂しそうな顔をしているのが気になるよう。「ティッチ」という音の響きを面白がっていました。

<おすすめポイント>3人兄弟の体の大きさや力関係が明確に伝わるように、絵は、余白をたっぷりつかい無駄のない構図と、3人それぞれの顔の表情が心情をよくあらわしています
 文章も、「ピート○○をもっていました。 メアリ△△をもっていました。でも、ティッチのもっていたのは、☆☆でした。」という繰り返しの単純さがあり、ティッチの小ささがひきたちますが、最後は痛快なまでに逆転する面白さをもっています。
 字数が少ないですが、その分絵がしっかりと伝えてくれます。

<現在3才2ヶ月のヒメの反応>ティッチがもっていた種が芽を出し、大きく育つ場面で、兄と姉が「してやられた~」というような表情を浮かべているのが納得いかない様子。さすが一人っ子。兄弟同士の微妙な関係に共感できない様子。

<まつりかの感想>
 表紙をめくり、見返し部分には、3足の靴が描かれています。兄と姉の靴が並び、少し間隔があいてティッチの靴が。
 次のページには、物干しに3人の洗濯物が干してあります。こちらも、兄と姉の服が並べて干されていて、ティッチのものだけ離れて干してあります。このように、物語はすでに本文に入る前から始まっています。
 
 ティッチは体が小さいので、兄と姉との力に差があり、同じようにやりたくてもできません。兄も姉も、そんなティッチを横目で見ながら、優越感に浸っていて、ティッチはコンプレックスを感じているよう。
 一見、兄と姉がティッチを見下しているだけのように思えますが、実はこの兄弟は一場面ごとに同じ遊びをしたり、同じ作業をしているのです。体の小さいティッチは、自分にできる範囲のことを探し、兄と姉についていこうとしている健気さが伺えます。 クライマックスでの、植木鉢に土をいれて種をうめる作業をする3兄弟。ティッチは種を手にのせて土にうめるだけの作業だったけれど、その種が大きく育って、背よりも高くなる最後の場面での、ティッチの顔はとても誇らしげ。
 これにより、兄も姉も、小さくて何事も劣っているはずの末っ子を、少し見直すかもしれません。
 
 兄弟間に芽生える優劣の感情が明快にかかれていますが、一人っ子の多い昨今、ティッチの心理を理解できない子も増えているかもしれません。うちのヒメも、どこまでわかっているのやら??
 こういう絵本を通して、上の子の気持ち、下の子の気持ち、両者の立場にたって考えられるようになれればいいなと思うのです。
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genre : 育児

 よるくま

2006-09-28

よるくま  酒井駒子
よるくまよるくま
酒井 駒子

偕成社 1999-11
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<どんな絵本?>
 昨日の夜、ぼくのうちにかわいいクマの子がきた。名前は「よるくま」目が覚めたら、おかあさんがいなかったといって泣いている。
 よるくまは夜みたいに真っ黒。だけど胸のお月様だけは光っている。
 ぼくは一緒によるくまのお母さんを探しにでかけた。どこにもいなくて、よるくまのお家にも行ってみたけど見つからなくて。
 とうとうよるくまは泣き出してしまった。よるくまの涙は夜みたいに黒くて、あたりは真っ暗になってしまった。
 「たすけてながれぼし!」
 そのとき流れ星がとんできて・・掴むと、釣竿の先。よるくまのお母さんが魚釣りをしていた。
 「おかあさん おかあさん どこいってたの?」
 ごめん ごめん。おかあさん おさかなつって おしごとしてたの


 よるくまのお母さんは、よるくまを抱っこして、釣った魚をかついで、ぼくもおんぶして帰っていく。
 
<初めて読んだ3才0ヶ月のヒメの反応>よるくまが涙を流す場面で、号泣
わんわん泣いて、「もうこの本読まない」といっていました。しかしそれからしばらくは毎晩のようにこの本を持ってきて読みせがんでいました。

<おすすめポイント>よるくまのかわいらしさがたまりません。お母さんが見つからなくて、寂しくて泣いている姿、お母さんに出会えて泣きじゃくりながら両手をひろげて飛びつく姿には胸がしめつけられます。
 「ぼく」と「ぼくのお母さん」、「よるくま」と「よるくまのお母さん」の会話が入り組んでいて、現実と空想の間を行き来する様子が、違和感なくうまく描かれています。  

<現在3才2ヶ月のヒメの反応>図書館で2週間借り、返却するときには、「いや!絶対返さない!」と。その後ようやく購入すると、本をぎゅーっと抱きしめて直後から「読んで読んで」コールが。以来、3日に一回は夜の寝かしつけに読んでいます。
 おかげで文章をほとんど覚えてしまいました。とくに、「おまえはあったかいねえ」のフレーズが好きで、ぬいぐるみのクマちゃんを抱っこしながらこのセリフを言っています。 

<まつりかの感想>
 「ぼく」の言葉は、ゴシック体で、「お母さん」の言葉は明朝体で区別して書かれていることで、読み聞かせのときにすんなり読めます。
 よるくまがとっても不安で寂しくてたまらないのに、当のお母さんは「ごめんごめん」とあっけなく釣った魚を両手で高くもちあげ「ほらごらんこんなにつれた」なんて言ってしまうところに、母親の強さを感じます。よるくまの寂しさを受け止めながらも凛とした母の姿。
 釣った魚を明日の朝食べて残りをお魚屋さんに売って、そのお金で自転車買おうか・・・よるくまは、お母さんがぼくのことをちゃんと思ってくれているってことに安心するのです。
 
 「ぼく」と「よるくま」はベッドに横になり、よるくまのお母さんが寝かしつけてくれます。次のページでは、よるくまは「くまのぬいぐるみ」になり、よるくまのお母さんは「ぼくのお母さん」に変わっています。でも布団と枕は同じ・・空想なのか現実なのか、不思議な世界を自然に表されています。
 
 「あああったかい。おまえはあったかいねえ。」この言葉にぐっときます。大きくなって抱っこをすることが少なくなったヒメをふと抱くと、まさにこの言葉に共感するのです。

 「あしたになったらおさかなをやこうねえ。あさごはんにたべようねえ。」
 今日は○○したねえ~、明日は○○しようねえ~・・と、こんな会話で一日の終わりを安らかに迎えられることの幸せ。そして明日もきっと楽しい一日でありますように。

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genre : 育児

 TV「夢のつづき 私の絵本」

2006-09-27

26日(火)、夢のつづき わたしの絵本という番組が放送されました。
この番組は、 NHK BS2 で毎月第四火曜日 23:30~23:59
  (再放送 NHK BSハイビジョン 毎月第四金曜日 18:00~18:29 )に今年四月から放送されています。

 今月のゲストは、画家のMAYA MAXXさん。
 この方の本は、「トンちゃんてそういうネコ」というのを読んだ事があります。これは、絵本講師仲間が、講座で必ず使用すると紹介してくれた本です。
 作者のMAYA MAXXさんご自身の飼い猫をモデルに書かれていて、ぐうたらで愛嬌たっぷりのネコ・・・だけど、足が一本ないんです。
人と比較しない、自分に与えられたものを最大限に生かしていくことを物語ってくれる感動の本です。

今日はMAYA MAXXさんは、このトンちゃんのイラストのTシャツを着て出演されていました。

 そして「とっておきの絵本」として紹介されたのが『100万回生きたねこ』でした。
 佐野洋子絵本展に行ったばかりの私にとっては、なんともタイムリー
 この絵本展でもMAYA MAXXさんは、コメントを寄せられていましたけど、佐野さんの書く猫に魅了され、この本が大好きで、こういう本を書きたいと目標にされているのだそうです。
同時に、「カチン!」とくると表現されていました。
 なぜなら、同じ絵本作家として、ここまで上手く「生」「死」「愛」をテーマに描かれた本はない。なんでこんなに上手く表現できるのだろうかと思うと、「やられた~」という思いから「カチン」とくるのだとか。

 若い頃は、自分のことが大好きで人の為に涙を流した事なんかなかったというMAYAさんですが、この本の中で一番すきなのは、「ねこは、白いねことたくさんのこねこを、じぶんよりもすきなくらいでした」という文だそうです。 「じぶんよりもすきでした」でなく「すきなくらいでした」という愛の表現の仕方に奥行きがあって素晴らしいと。
  
 MAYA MAXXさんにとっての、自分よりもすきなくらいな「しろいねこ」は、絵を描く事だそうです。まだ「しろいねこ」のしっぽをようやく掴んだくらいだとおっしゃっていましたけど・・そして、今後も猫をテーマに描いていきたいそうです。

 私にとっての「しろいねこ」は??自分以外の誰かを思うことの幸せとは・・・絵本からすると、パートナーであるべきなのかもしれない。でもでも・・今の私にとっては、やはりヒメかな。一番は。
 
 再放送が29日18時~BSハイビジョンであります。どうぞご覧下さい。
 




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 報告「佐野洋子 絵本の世界展」

2006-09-25

行ってきましたよ~~
佐野洋子 絵本の世界展


会期一週間という中、アテナさんRENEさんのレポートを拝見して、なんとか駆け込みで最終日間に合いました。

あまりに慌てていたので、カメラを持っていくことも忘れ、画像がありませんけれど、
『おじさんのかさ』『100万回生きたねこ』『おれはねこだぜ』
『だってだってのおばあさん』『空とぶライオン』
『わたしのぼうし』『おぼえていろよおおきな木』『うまれてきた子ども』『ねえとうさん』『わたしが妹だったとき』『おとうさんおはなしして』
これらの原画の展示と、NHK教育のテレビ絵本で放送された『おじさんのかさ』のビデオ上映がありました。

ほとんどの絵本において、全ページの原画が展示されているという大変贅沢な空間。
絵が見えるように娘を抱っこし、それぞれの額の上に、文章が貼り付けられているのを読みながら歩いていました。

『おじさんのかさ』は、アクリル絵具で青と緑が幾重にも塗られていて独特の色が出されていることを知り、『100万回生きたねこ』では、猫の瞳の色が場面によって違うことに気付き『わたしのぼうし』では原画に「ぼうしとわたし」とサインペンで書かれているのでおそらく最初はこの題名で考えられていたのだろうと想像し、『おれはねこだぜ』では、あまりのストーリーのおもしろさと、墨と青色の絵具という地味な配色ながらも構図のおもしろさ、なにより大量のサバが降ってくる様子に、娘と笑いながら歩き読みしたのでした。

7人兄弟の長女として生まれた佐野氏は9歳のときに2つ上の兄を亡くされています。絵が好きだったお兄さんを尊敬していたという佐野氏。「11才のままの兄のために」として書かれた『わたしが妹だったとき』の原画には、文章が添えられていなかったのですが、絵だけでも十分にそのせつなさがつたわってきました。

 昔、佐野洋子氏のエッセイを読んだとき、たしか、「わたしあまり猫はすきじゃない」という文があったのです。でも何故猫ばかり書くかというと、「犬よりもきれいな形をしているから」と答えていることに驚愕した覚えがあるのですが・・
 でも佐野さんの書く猫には愛情がたっぷり。私は個人的に『だってだってのおばあさん』に登場する5才の猫が好きですけど。

 そして、私が幼少の頃大好きだった絵本『わたしのぼうし』。これも全ページの原画が展示されていたこともあり、歩き読みしながら改めて温かな思いを感じることができました。この本の登場人物は、「わたし」と「お兄さん」。ここに書かれているのは、妹を思いそっと寄り添う優しい兄の姿。お兄さんを亡くされたというエピソードを知って読むと、この作品がハッピーエンドにも関わらず、静かな温かさに包まれることも納得できます。

 佐野さんの絵本の多くは、物静かなトーンで運ばれていく気がします。日常にある愛や命の大切さ、子どもの繊細な心の変化がシンプルなメッセージでありながら深く心にしみいります。
 けして押し付けがましくなく、教訓めいたものもなく、人間の醜さも優しさもすべてを大きく包み込みながらそれを客観的に見ているような作品。
 初期の作品ばかり読んでいた私ですが、2001年に出された『ねえとうさん』などは、熊が主人公でお父さんに光りを当てた本で、こちらは力強さやたくましさを描かれ、初期作品とは違う生気の漲りを感じられました。ぜひ最近の作品も今後読んでみたいと思います。

 
おれはねこだぜおれはねこだぜ
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ねえとうさん―ぼくとうさんの子でうれしいよねえとうさん―ぼくとうさんの子でうれしいよ
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 イエペはぼうしがだいすき

2006-09-21

イエペはぼうしがだいすき 石亀泰郎/写真 文化出版局編集部/文
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<どんな絵本?>
 写真家石亀氏が、デンマークの公園で偶然会ったイエペという少年の純粋な姿に心ひかれ、彼を撮影した写真で作られた、写真絵本です。 

 デンマークのコペンハーゲンに住む3才のイエペは、帽子が大好き。
100個も持っているけれど、一番のお気に入りは、茶色のつばのある帽子。
 朝ごはんの時以外は、いつもかぶっている。
保育園で、遊ぶときも、先生のお話を聞くときも、お弁当を食べるときも。とっくみあいや、でんぐりがえりをするときでさえも離さない。
 そんなイエペを友達はからかって、帽子をとろうとする。だから、ある日帽子をかぶらずに保育園に行ったら、先生に「具合が悪いの?」と聞かれた。自分もなんだか気が晴れなくて、友達にも慰められる。
 でも、つぶれたサッカーボールを頭に乗せたら、元気になった。
 翌朝はまたお気に入りの茶色の帽子をかぶって保育園に。その日は遠足。うれしくてはしゃいで・・・うちに帰って、帽子を横においてぐっすり眠った。

<初めて読んだ2才11ヶ月のヒメの反応>表情豊かなイエペの顔を真似たり、外国の家の中の様子や食器などに興味をもち、「これ何?」としきりに尋ねてきます。

<おすすめポイント>デンマークの豊かな自然や、美しい町並み、イエペや彼をとりまく人々の自然な表情が活き活きと撮られています。
 イエペの家族構成、朝食の様子、保育園での生活・・・物語は大きなうねりもないものなのですが、3才の少年が茶色の帽子が大好きということと、彼の屈託のない表情が、写真家の撮影技術によって、とても素敵な物語に仕上がっています。  

<現在3才2ヶ月のヒメの反応>イエペと同じく3才のヒメ。イエペが家族(父、母、兄)と散歩している写真の上部に、本文と関係なく名前がかかれています。「お兄さんはヤコブ、お母さんはメレテ、お父さんはペール」と、イエペ家族の名前をすっかり覚えています。
 また、写真に登場するお友達や先生を一人一人じっくり見るのがすきで、その中に、指しゃぶりをしている男の子を発見。
 3才2ヶ月でまだ指しゃぶりが外れないヒメは、「この子もチュパチュパしてる~~」と大喜びしています

<まつりかの感想>
 初版は1978年。ということは、イエペは今30代?このカラー写真の美しさもさながら、今みても全く古さを感じさせない生活様式や服装に驚きます。
 写真絵本として、とても評価が高いこの本。子どもの生活を撮ったものであり、イエペ目線で文章も書かれていることにより、子どもが絵本として入り込みます。かつ、写真というありのままを映し出されたものを見ることで、文化の違いなども自然に体験できることに価値があります。
 
 あとがきに、写真家の石亀氏のコメントがあります。
 「デンマークの公園でイエペにであった。ソフト帽をまぶかにかぶった姿はまるで童話の主人公のようだった。保父さんの話でイエペは帽子を100も持っているという。詳しい話を聞くために、2,3日後保育園を訪れてまたイエペに会うことができた。
 日本に帰ってからもイエペに会いたいと思い続けていたが、1カ月たってようやくデンマークに旅立つことができた。
 イエペはやっぱり帽子の好きな心の豊かな子どもだった。」 


 イエペと同じ3才のヒメ。イエペと同じように、くるくるした表情を見せてくれます。
 そうそう、3才ってこんな感じなんだな~どの国の子でも・・と思える写真の数々。
 わたしもヒメの写真に、ストーリーをつけて絵本にしてみようかしら・・

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 講演会『クシュラの奇跡』をめぐって

2006-09-17

9月16日(土)東京・銀座の教文館ナルニア国にて、
『クシュラの奇跡』の訳者である、百々佑利子氏による講演会が開かれました。
演題は”『クシュラの奇跡』をめぐって”子どもの成長と本の力
1984年に出版され、大きな反響を呼び、読まれ続けてきたハードカバー『クシュラの奇跡』~140冊の絵本との日々が、22年の時を経て、ソフトカバーで普及版が出版されたのを記念しての講演でした。

クシュラの奇跡―140冊の絵本との日々クシュラの奇跡―140冊の絵本との日々
ドロシー・バトラー

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講演内容は、著者のドロシー・バトラー氏のエピソード、出版にいたるまでの経緯や、クシュラがどのように本と接し言語の発達をとげていったか、クシュラが好んだわらべ歌や子守唄・言葉遊びをCDで聞き、普及版の巻末にも書かれている、その後のクシュラについてのお話などがありました。

著者のドロシー・バトラー氏はニュージーランド在住で現在80歳。
元々は主婦で8人の子どもがいました。
次女パトリシアが20歳の学生のときに子どもが生まれます。それが、クシュラです。
しかし、クシュラは生まれながらに染色体異常による重度の障害をもっていました。
クシュラの父親も21歳の学生。
若い両親を手助けするために、祖母であるドロシー・バトラー氏は子育て支援にのりだします。
母親のパトリシアは、クシュラの成長記録を細かくつけ、本書はその記録を祖母であるドロシーが論文にまとめたものです。

クシュラは、眼球がふらつきなかなか焦点をあわせられませんでしたから動くおもちゃを目で追う事は困難でした。ただ、絵本のように動かぬものは、時間をかけて焦点をあわせることができるとそれに大きく反応をしていたのです。
生後4ヶ月で絵本をはじめて見てから、3才9ヶ月までに、クシュラは140冊の本を1冊につき、ときには何百回もよんでもらうことで、文章や言葉を記憶し日常生活で使えるようになります。学校に行くようになってからは、書き言葉にも、本で覚えた内容が出てくるようになったということです。
生まれてすぐに、医者に知恵遅れと診断されながらも、祖母、両親ともにクシュラの知能が発達する可能性を信じ、献身的な愛で日々接します。それにより、文字通り奇跡的な知能の発達、とくに言語に関わる発達は素晴らしかったのです。

 この本は1979年に原著が出版されていますが、日本での出版は1984年です。障害児問題についての内容ということもあり、すんなり出版にはいたらなかったそうです。
 今回の普及版では、「その後のクシュラ」について書かれています。
現在クシュラは、政府の公的援助の下、共同住居に他の障害者と、お世話をしてくれるスーパーバイザーの5人で生活をしているとのことです。
 また、20歳で母親になったパトリシアは、クシュラと姉妹のように暮らしていたそうですが、娘の自立を願い彼女を共同住居に入れたあとは、自分も別の共同住居でボランティアとして障害児の支援に取り組んでいたそうです。しかし、数年前、40歳半ばにして突然お亡くなりになったとのことでした。
 亡くなる数ヶ月前、ニュージーランドを訪れた百々氏に対し、パトリシアは
「私はクシュラが礼儀正しく、品のある人に育ったことが嬉しい」といわれたそうです。
 子どもの発達や言語の発達に、本がいいといわれているけれど、それは何を目的に言っているのかというと、百々氏は、パトリシアの言葉を思い出すそうです。・・・人間が人間であるためにいつどんなことがあっても礼儀正しく品があることを本は教えてくれると。

 わたしはこの本のハードカバー版を、絵本講師の勉強をしているとき参考文献として読みました。
 障害に真正面から取り組んだ若い両親の記録と、クシュラの奇跡的な発達に感動すると同時に、クシュラのかけがえのない友達であった絵本の力に驚きました。体の自由がきかないクシュラが、絵本を通して知った様々な世界は彼女の心を豊かにし、健常児以上の言語能力をもち、こころ優しい女の子に育っていく事に。
 障害児を持つ親にとって、絶望的な日々に感じられることもしばしばであろうと思います。クシュラの母親が、子どもと長い時間接するためにどうしたらいいかということで、絵本の読み聞かせをしたことが始まりなのですが、結果、クシュラの細かな成長をみることで母親の心も安定し、親子が共に楽しめる時間となったわけです。 絵本を仲立ちにして優しい母の声で語られることで、クシュラは、言葉を覚え、生きていくことの支えとなる世界を絵本から学び取ります。
 絵本の力、読み聞かせのはぐくむものについて実証された感動的な実録本です。

 普及版になってお求めやすくなっています。わたしもハードカバーは図書館で借りて読んだのですが、こちらは購入いたしました。
 講演のあとサイン会もあったのですが、時間がなくて・・・非常に残念でした。
 
 


  
 
 





 なにをたべてきたの?

2006-09-13

なにをたべてきたの? 岸田衿子/文 長野博一/絵025188670000_s.jpg

<どんな絵本?>
おなかがすいた「しろぶたくん」は、何か食べものを探しています。そして・・
りんご りんご
おいしそうな きれいな りんご
いただきまーす


すると、りんごを食べた「しろぶたくん」の体に赤い○がほわっと浮かびます。
おや しろぶたくんかい いつもとすこしちがうみたい

まだおなかがすいている「しろぶたくん」
レモン、メロン、ぶどうを見つけおいしそうに食べると、そのたびに体に黄色緑色紫色の○が・・
仲間の豚くんたちにも、
なんだか きれいになったみたい
といわれます。

まだおなかがすいている「しろぶたくん」は、
石鹸をみつけて
これを たべたら もっと きれいに なるかな?
でも、石鹸を食べたとたんおなかのなかは泡だらけ・・
つるんとすべって転げ落ちて、疲れて動けなくなった「しろぶたくん」の鼻からはシャボン玉がぽわ~ん。
せっけんが おなかの なかから にげていくう!
お友達の豚たちに出会った「しろぶたくん」は、自分がいつもとちがうか尋ねます。
いつもと おんなじだよ
でも まえより おおきくなったみたい
なにと なにを たべてきたの?


<初めて読んだ2才10ヶ月のヒメの反応>大きく描かれたりんごやメロンを見て、「いただきまーす」と本にかじりつきます。石鹸を食べるしろぶたくんが、疲れて地面にべたっとのびて、「ふーっ うごけないよ」という場面がお気に入りです。

<おすすめポイント>ストーリーの発想と組み立てに感心します。食べたものと同じ色が体を淡く染め、そのたびに仲間の豚くんに「なんかちがう」「きれいになった」といわれることの繰り返しも次はどうなるの?と期待させてくれます。
 「しろぶたくん」は自分の体がカラフルになっているのが見えないため、どこがどうきれいになっているのか分かっていません。褒められると、もっときれいになりたくて、石鹸を食べてしまうのだけど、結局色が落ちてしまって元の体の色に戻ってしまうという結末も面白い。
 優しい線画と淡い色使いで、愛らしく滑稽に描かれた豚。食べ物を食べる場面の豚と食べ物の構図は迫力満点。余白をたっぷりつかい、全体的にしろっぽさを強調しているため、しろぶたくんを染めていくカラフルな○がひきたって効果的でうす。

<現在3才2ヶ月のヒメの反応>食べ物をたべるときの「しろぶたくん」の表情に大笑い。「いただきまーす」を一緒に大声でいい、むしゃむしゃ食べるマネをしています。とくに酸っぱそうに目をぎゅっととじてレモンを食べている顔が大好きです。「なにとなにをたべてきたの?」で終わる文章に対して、「りんごと~レモンと~・・・で、最後に石鹸食べたのよ」と答えています。

<まつりかの感想>
 先日ヒメとシャボン玉をしているとき、光りの当たり方で何色も輝いて見えるのを見て、岸田衿子さんがこのお話を思いついたのは、もしかしたらシャボン玉を見てなのじゃないか・・・なんて思いました。
 最初読んだときは、豚が食べるシーンの幸せそうな顔が印象に残るくらいで、それほど面白さを感じなかった本ですし、ヒメもそれほど反応はなかったのです。しかし、繰り返し読んでいくうちに親子共々お気に入りの本になりました。
 しろぶたくん以外に、いろんな種類の豚がでてくるところや、色、果物も色々出てきます。「なにをたべてきたの?」という質問に子どもの思考が働きますし。
 つまり、教材のように使おうと思えばその要素がたっぷりの絵本かもしれません。でも「食べたものを順番にいってみよう」とか、「どうして元のしろぶたになったのでしょう?」なんてことを聞くのはナンセンス。そんなことを尋ねなくても、子どもは自然に絵本から感じ取って楽しんでいるんだと実感しています。
 

 

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genre : 育児

 くりくり

2006-09-11

くりくり  ひろかわさえこ/作
ことばであそぼ〈1〉くりくりことばであそぼ〈1〉くりくり
ひろかわ さえこ

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<どんな絵本?>
くりくり ゆっくり あるいていたら 
ずんぐり ちっくり そっくりおやこ


 表紙の絵の「くりくり」が家をでて散歩に出かけると、栗饅頭を食べまくる、栗の形のそっくり親子に出会います。
 その食べっぷりにあっけにとられて、口をあんぐりさせていると、「くりむし」が落ちてきてごくりと飲み込んでしまいました。
 慌てて泣いていると、しゃっくりがでてきてとまらない。
 そこへ「どんぐり」がやってきて、お手製のびっくり箱で、「くりくり」を驚かせると口から「くりむし」が飛び出てしゃっくりも止まります。
 仲良くなった「くりくり」と「どんぐり」は一緒に遊びます。
あたま くりくり おへそ くりくり おしり くりくり
くりくり だんす
くりくりかえして おどったら
ぬっくり ほっくり いいきもち


<初めて読んだ2才10ヶ月のヒメの反応>文中の「くりくりだんす」がお気に入り。挿絵と同じ格好をして「くりくり♪~~」と踊っています。

<おすすめポイント>ことば遊びの絵本。「くり」がつく言葉が、リズミカルで響きがよく、耳に残ります。
ストーリーは至って単純。しかし、ひろかわさえこ氏の、かわいらしいイラストと、「くりくり」達の仕草の愛らしさが、言葉のテンポの良さにマッチしてほんわか幸せな気分になります。
 
<現在3才2ヶ月のヒメの反応>20060911215832.jpgスーパーに栗が並ぶようになりました。栗を見ると、「おへそくりくり おしりくりくり」といいながら、ゲラゲラ笑っています。(ヒメは、栗があまり好きではないようです。甘栗は食べるのに・・・)

<まつりかの感想>
言葉あそびの本は、リズムと語呂のよさで自然に頭に入っていくものです。この本も、「くり」がつく言葉がずらり・・・。なかでも、「あんぐり」「ひょっくり」「ぱちくり」「ちょっくり」「ぬっくり」「ほっくり」なんていう言葉は、日常語として、それほど使用頻度が高くありませんが、このような絵本の言葉あそびと、それに合った挿絵を見ることで、なんとなく意味を把握していくんだろうなと思います。
「ことばであそぼ」シリーズの1作目。
2作目として「ちもちも」というのも出ています。
ことばであそぼ〈2〉ちもちもことばであそぼ〈2〉ちもちも
ひろかわ さえこ

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こちらは赤ちゃんの言葉や擬態語が盛りだくさんです。


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genre : 育児

 佐野洋子 絵本の世界展

2006-09-07

佐野洋子 絵本の世界展
『100万回生きたねこ』の作者、佐野洋子氏の絵本の原画や関連資料を一堂に集めて展示されるイベントがあります。

日時
 9月19日(火)~24日(日)10時~19時30分(最終日18時閉場、入場は30分前まで)

会場
日本橋三越本店 新館7階ギャラリー

入場料
一般・大学生\700 高校生・中学生\500
(税込・小学生以下無料)

佐野洋子氏の作品で一番好きなのは『わたしのぼうし』です。
わたしのぼうしわたしのぼうし
さの ようこ

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これは私が子どものころ大好きだったおはなし。
でもすっかり忘れていたんです。
一年前、図書館で偶然手にしたこの本。
体中の血がぐわ~~って流れるような気がして、涙がこみ上げてきました。
泣けるような話じゃないんですけどね。
幼い頃の温かい記憶が蘇ってきて・・あの頃わたしにもお気に入りの帽子があり、この本の女の子の気持ちと重なる部分があって何度も繰り返し読んでいたんです。
この本の原画が展示されているかはわかりませんけど、そういうわけで思い入れのある作家さんの絵本展だけに、ぜひ足を運んでみたいと思っています。

過去に『おじさんのかさ』を取り上げて記事にしているのでこちらもご覧下さい。

おじさんのかさおじさんのかさ
佐野 洋子

講談社 1992-05
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おじさんが主人公という、一風変わった本。妙につぼにはまる、こちらも私の大好きな一冊です。

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genre : 育児

 おふろでちゃぷちゃぷ

2006-09-05

おふろでちゃぷちゃぷ 松谷みよ子/作 岩崎ちひろ/絵


<どんな絵本?>
あひるちゃん
どこいくの

いいとこ
いいとこ


あひるちゃんは、タオルと石鹸をもってお風呂へ。
湯船の中から、男の子を呼びます。
はやく おいでー
いっとうしょうは だあれ


ひとりでセーター脱いで、ズボン脱いで、シャツを脱いで、パンツ脱いで、あひるちゃんの待つお風呂へ。
おふろ
ぼく
だーいすき


<初めて読んだ0才5ヶ月のヒメの反応>ヒメをベビーバスにいれながら、「おふろでちゃぷちゃぷ」といいながら体を洗っていました。髪を洗うときも、毛をつまんで「キューピーちゃん」にしていましたし。思い出の本です。

<おすすめポイント>繰り返しの表現、リズミカルな言葉で、つい口ずさみたくなるフレーズがたくさんあります。
 また、いわさきちひろ氏の水彩の挿絵は、おふろの温かい湯気に包まれているかのような気分にさせてくれますし、男の子が一枚ずつ服を脱いでいく絵や「わーい はだかんぼうだーい」と裸になってお風呂にむかう絵は、2,3才の子どもがするであろう仕草や表情そのままで、とても愛らしく描かれています。
 「あたまあらって キューピーさん」という、ふんわりした終わり方も素敵。
 
<現在3才1ヶ月のヒメの反応>子どもが服を脱ぎながら「まって まって いま○○ぬいだとこ」というフレーズが好きです。実際お風呂に入るときには、このフレーズを言いながら服を脱ぎ、裸になったら「わーい はだかんぼうだーい」といっています。

<まつりかの感想>
 松谷みよ子さんの文章は、言葉が豊かです。日常の中で自然に口にできるような、フレーズがいっぱい。
 「お風呂に入るよ。はい、早く服脱いで・・」なんて命令口調になってしまう日常だけど、
「いいとこいくよ はやくはやく いっとうしょうはだあれ?」なんて言うだけで親子の会話も優しくなれます。
 
 この本・・あひるが男の子をお風呂に誘っていますが、このあひるは、親をあらわしているんでしょうね。このあひるの言葉をマネて使ってみると、なんだかお風呂が楽しくなります。(うまく子どもを誘っているなあ~~って感心しちゃう表現です)
 「おふろでちゃぷちゃぷ せっけんぶくぶく・・」と、お風呂でつかうこの優しい言葉の響きを、親が口なじみにしておくことで、子どもが成長して1人で入るようになってからも、親と一緒に過ごしたお風呂の時間をこの絵本とともに、いつまでも覚えているのではないでしょうか。
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 ぼくはあるいたまっすぐまっすぐ

2006-09-04

ぼくはあるいたまっすぐまっすぐ  
マーガレット・ワイズ・ブラウン/作 坪井郁美/文 林明子/絵

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<どんな絵本?>
「ぼく」はおばあちゃんからの電話を受け取ります。
ひとりでうちに遊びにこないかという電話。
でもどうやって行っていいかわかりませんし、どの家がおばあちゃんのおうちかわかりません。

おうちの まえの みちを まっすぐ いって
いなかみちを まっすぐ まっすぐ
いなかみちって こわくない?


「ぼく」は言われたとおりにまっすぐまっすぐ歩いていきます。
途中、道端に花をみつけます。おばあちゃんにあげよう、とお花を摘むと・・・道から反れてしまいました。
でも「ぼく」はひたすらまっすぐまっすぐ進みます。
畑や川、小高い山を越えると、小屋にぶつかります。

ここが おばあちゃんの おうちかな?

でもそれは馬小屋でした。
次は、犬小屋、そして蜂の巣小屋にぶつかり・・・
しかし、無事におばあちゃんのうちにたどり着くのでした。

おばあちゃんの おうち
やっぱり まっすぐだった


<初めて読んだ2才10ヶ月のヒメの反応>おばあちゃんと電話で話す「ぼく」の言葉を真似していました。
 (リトミック教室のビルの一階は携帯電話ショップ。レッスンが終わると必ずお友達と一緒に、見本の電話を手にとり、みなそれぞれに「もしもし~~。はい、はい。うん、そう?いいよ、わかった、じゃあね」などと、相手もいないのに会話をしているふりをして遊んでいました。ですから、とくに、この冒頭のシーンのセリフは大好きです。)

<おすすめポイント>マーガレット・ワイズ・ブラウン作「Willi's Adventures」に収められた3編の短いお話の中の「Willi's Walk」をもとに創られた本。
ですから、舞台は外国。林明子さんの絵は、昭和の日本を背景にしたものが多いので、家も町並みも、家具や置物も人物も、ホールのチョコレートケーキでおもてなしをするところなど、洋風の林明子画が新鮮に感じられます。 登場人物は「ぼく」と「おばあちゃん」だけで、背後に見え隠れする人物もほんの少しですが、林さんの絵ならではの、「絵さがし」の要素も楽しめます。
 縦長に、大きいサイズの絵本で、中は余白がたっぷり使われています。「こどものとも」の横長で画面いっぱいの林さんの絵とはまた違った雰囲気で読めます。
 文章は、「ぼく」の目線、言葉、心情のみで運ばれており、おばあちゃんの家に行くまでの冒険の様子を、主人公の気持ちになって共に楽しめるようになっています。
 
<現在3才1ヶ月のヒメの反応>相変わらず、電話のくだりは大好きです。また、馬小屋や犬小屋をのぞいて「うわっ」という場面も、先回りして声を出して読んでいます。
 絵さがしでは、「ぼく」が道端で摘んだ花が、おばあちゃんのうちのテーブルにコップに挿してあったり、「ぼく」のうちの電話の近くの壁にはおばあちゃんの写真があり、おばあちゃんのうちのキャビネットの上には「ぼく」の写真が置かれていることに気付いています。

<まつりかの感想>
 表紙をめくると、緑色の中表紙に「ぼく」と思われる足跡がかかれています。右、左、右、左、両足、両足、右、左・・・「ぼく」が歩いたり、ジャンプしたり駆けたりしている様子は伝わり、物語はすでに始まっています。
 電話が鳴っている絵から始まり、ページをめくると、はい もしもし あ、 おばあちゃんと。この始まりかたは、他の絵本にない新しさがあります。
 まっすぐと言われれば、道なき道でも平気でまっすぐに突き進む「ぼく」には、「そっちじゃないよ」とハラハラしながら展開を見守ってしまいます。子どもにとってのまっすぐは、石にぶち当たれば避けずに、石に乗って下りる。川にぶち当たれば、靴を脱いでズボンをまくりあげてわたる。子どもには、目の前にあることが全てで、先読みしたり迷ったりというのがないのかもしれません。
 ですから、ヒメも「ぼく」流のまっすぐになんの違和感も感じずに読んでいるようです。
 この本の「ぼく」は、いたるところで「こわくない?」「こわいものかな?」と言います。これがヒメとよく似ていておかしい。ヒメも何か新しいものを体験するときには、必ず「こわくない?」と確認してきますから。
 「ぼく」の目線で運ばれるストーリー。この旅は、少年の心を、不安→安堵→自信へと導きます。
 「こわいものかな?」と自問自答しながら進んでいく様子は、この旅への不安が伝わります。おばあちゃんのおうちを見つけ、会って抱きついている絵は、少年の緊張がとけた様子が。ティータイムのシーンで、摘んだ野いちごをおばあちゃんに手渡す「ぼく」の顔はとても清清しく誇らしげで自信にあふれています。
 「ぼくひとりで来れたよ」とでもいうような顔。しかし、テーブルのコップ挿してある、「ぼく」がおばあちゃんのために摘んだ花が、しおれている様子は、道中手に汗にぎりやっとの思いでたどりついたことをあらわしています。
 裏表紙には、チョコレートケーキを口いっぱいにほおばる「ぼく」の幸せそうな顔。本を閉じたときに、「よかったね」と言いたくなる、読後がとても気持ちのいい本です。
 

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プロフィール

まつりか

Author:まつりか
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・まつりか
 現在は神奈川県在住ですが、転勤族のためいろんな方言が話せます。
 子どもが生まれてから、絵本の読み聞かせの楽しさにはまり、読書記録をつけていたものを形にしたいと思ってブログを立ち上げました。
 NPO法人「絵本で子育て」センターの絵本講師として、絵本で子育てすることの大切さをつたえていく活動をしています。
・家族
 ♪サラリーマンの夫
 ♪2003年生まれの娘(12歳)・・結婚7年目で授かった 我が家のプリンセス。
 通称:ヒメ。小学6年生です。 

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