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 ともだちがほしいの

2008-04-27

ともだちがほしいの   柴田愛子/文  長野ヒデ子/絵
ともだちがほしいの (からだとこころのえほん)ともだちがほしいの (からだとこころのえほん)
柴田 愛子

ポプラ社 2004-03
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<どんな絵本?>
子どもたちの遊び場「あそび島」に、転校してきた、ふうこちゃん。
まいにち かようことに きめたのですが
まいごみたい
みんな いそがしそうに あそんでいるのに。
きょうも ふうこは ひとりぼっち。
あさから ずっと ほん よんでる。
きょうも ふうこは まいごのきもち。


遊ぼうと誘ってくれるけどなんだか怖い。
やっと夏休みがきてなんだかほっとした気持ち。
前に住んでいたところの友達が、泊まりにやってきて、いっぱい遊んで笑った。
夏休みが終わり、また「あそび島」に行かなければならない。
おかあさんが心配していろいろ話しかけてくる。
「ねんどもあるし、 おりがみもあるでしょ。 ひとりで ほんをよんでも いいし。 しゃぼんだまもできるし・・・」

でも・・
ちがう! ちがう! そうじゃない!
「おかあさん ふうこは そんなことを したいんじゃないの。 ふうこは ともだちが ほしいの!」
 
さてふうこは、友達ができるのでしょうか?

<初めて読んだ4才2ヶ月のヒメの反応>
 ふうこちゃんが、はるこちゃんに「いっしょにあそぼう」と声をかける場面に、自分も同じ経験があるようでずいぶんと共感しています。
 また、2学期に大阪から引っ越してきた女の子のことを思って、「ふうこちゃんって、△△ちゃんみたい」と言っています。

<おすすめポイント>
 主人公のふうこちゃんは、年長の一学期終了間近に引っ越してきた実在の子です。
初めての場所で、築いていく人間関係に葛藤する幼い心、そして、夏休みに遊びに来てくれた昔のお友達との交流をきっかけに、「ともだちがほしい」と奮起して、自分から声をかけて遊ぶようになった心の成長が描かれています。
 くっきりとした太い筆遣いと、豊富なカラーで描かれた絵は、少女の心の揺れにあわせて背景の色も変わっていて、ポツポツした言葉で語られる文章とともにしっかりと物語ってくれています。
 作者の柴田愛子さんは、横浜の「りんごの木こどもクラブ」という無認可の幼稚園を運営されています。そして、画家の長野ヒデ子さんは、以前その近所にお住いだったという御縁で他にも『ありがとうのきもち』もこのコンビの作品があります。

<現在4才9ヶ月のヒメの反応>
 読みたい本を持っておいで、というと、最近では選んだ数冊の中に、この本が必ず入っています。夏休みに泊まりにきたお友達と一緒にお風呂に入ったり、布団で寝たりする場面と、はないちもんめをする最後のシーンがおきにいりです。 

<まつりかの感想>
 年中に進級したヒメは、クラスも替わり新しいお友達が徐々にできはじめているようで、「今日は●●ちゃんと、はじめてお話したよ」と、日々初めて耳にするお友達の名前が聞こえてきます。
 どうやってお友達を作るの?と聞くと、「『入れて』って言う。」とか「お名前なんですか?って聞く」など、なかなか積極的に声をかけている様子。
 ドキドキしないの?と聞くと、「でも、あの子とお話したいなって思ったら、ぐっとがんばって声をかけてみるの。ニコッて笑ってくれるとすごい嬉しい」と。
 いつのまにかこちらが思う以上に、成長しているようで、ヒメなりに切磋琢磨しながら園生活を楽しんでいるようです。
 
  昨年秋に、友人とグループを組み、市の教育委員会と共同主催で、家庭教育学級というのを開催し、柴田愛子さんに御講演をお願いしました。(過去の記事「ぶっくぱる2回目」はコチラ)そこで、絵本作家として、また保育者としての素晴らしいお話をいただき、この本についても、さまざまなエピソードをお話くださいました。
 中でも印象に残っているのが、ふうこちゃんが、ひとりでぽつんと居る様子をどんな言葉で表現するのか、編集の方と随分思案したとのお話。最終的に「まいごみたい」という言葉になっているのですが、本で顔を隠しながらそっと横目でみんなの様子をうかがっている絵とマッチしていて、身の置場のない様子を大変的確に表現した言葉だと思いました。(持っている本が、長野ヒデ子作品の『せとうちたいこさん』なのが、さりげなくて可笑しい

 子どもは、集団生活をしていく中で、友達とのかかわりを持ちたいという欲求をかなえるために、その子なりの手段と知恵をもっていきます。年少のときに比べ年中以上になると、ひとり遊びをするよりも、友達と関わっていこうとする行動がより多くみられるそうです。その分、いさかいも多くなり、お互いに自己主張をするので、誤解も生じやすく、先生も、互いを納得させるのが難しいといわれていました。

 一方、ひとりで遊んでいても平気、お友達と関わろうとしない子も増えているそうです。うまく自分の気持ちを伝えられないあまりに、手が出てしまったり、暴れたり、キレたりという行動も目立つようですが、これは何も子どもに始まったことではなく、親世代の姿勢を反映しているといえるでしょう。パソコンや携帯によるインターネットや、ゲームなどが、実際に世間と交わらなくても孤独を感じないですむ世界をつくってくれますから。
 「ともだちがほしいの」という言葉は、素直な欲求のはず。しかし、「ともだちなんていらない」「ともだちなんてなくてもいい」と本気で思う人もいる現状です。その背景には、幼いころから無条件の愛情に包まれなくて自尊心を持てなかったり、競争社会で他人を見下したり、いじめたり、差別したりということを受けて、世間と断絶したいと思うようになるということがあるのかもしれません。
 それでも、人は一人では生きられない、生のコミュニケーションは絶対に必要なんだということを当たり前に感じられる世の中であってほしいと思います。 

 ちなみに、昨年その家庭教育学級を受講してくださり、この本を購入した年長さんの女の子を持つお母さんのエピソードです。その時、引っ越してきてすでに一年、子どももすっかり園に慣れてたくさんお友達もいたそうですが、家に帰ってこの本を読み聞かせると、お嬢さんは黙りこくって涙を浮かべ、「私と一緒だ」といったそうです。
 引っ越してきた当時は随分と気がふさいでいて、園の様子もなかなか語ってくれず、毎日重い足取りで園に向かう間、お母さんも娘の気持ちをもりたてようと必死になっていたというのを思い出され、「今更ながらに、その時の娘の気持ちを、この本を読むことで理解できたんです」と言われました。
 「まいごみたいだ」という気持ち、「ともだちがほしい」という気持ち。日常の出来事にある子どもの心の動きを、温かな保育者のまなざしだからこそ描くことができた絵本だと思います。
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 こいぬがうまれるよ

2008-04-24

こいぬがうまれるよ   ジョアンナ・コール/文  ジェローム・ウェクスラー/写真  坪井郁美/訳
こいぬがうまれるよ (かがくのほん)こいぬがうまれるよ (かがくのほん)
ジョアンナ・コール ジェローム・ウェクスラー つぼい いくみ

福音館書店 1982-01
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<どんな絵本?>
おとなりのいぬのおなかには赤ちゃんがいます。
産まれたら一匹もらうことになっています。
かあさん犬は、いきんであかちゃんを押し出し、へその緒をかみきり、子犬をなめてかわかす。
3匹産まれてそのうちの一匹に「ソーセージ」という名前をつけた。
産まれたての犬は、まぶたが閉じて、耳の穴もふさがっている。
一か月くらいして歯が生えてきて、かたいものを食べれるようになる。
2か月たったソーセージは、かあさん犬から離しても大丈夫になった。
ひもでつないでひっぱると、最初は嫌がっていたけれど最後にはわたしについてきた。

1973年出版されアメリカでロングセラーの写真科学絵本
  
<初めて読んだ3才3ヶ月のヒメの反応>
 書店でヒメが表紙の犬に一目ぼれして、選んだ一冊。「ソーセージ」という名前に笑い、犬が袋にはいって産まれてくることに驚いていました。
 どの写真も気に入っていましたが、とくに、産まれたばかりで秤の上にのせられている写真がお気に入りで、じっと見入って「よしよし」と撫でていました。 
   
<おすすめポイント>
 かあさん犬の出産から、子犬がどのように生まれてきて、成長していくのかを、モノクロ写真でつづっています。
 子犬を手のひらにのせたり、秤にのせた写真は、比較対照の効果もあり、子犬の愛らしさがより一層伝わってきます。
 子犬をもらって育てるのを楽しみにしている女の子の視点からの文章は、命の誕生や子犬の成長を身近に見守っている様子が、その息遣いまでもが感じられるようです。
 
<現在4才9ヶ月のヒメの反応>
 これを読むと、「犬が欲しい、犬を飼いたい」といい、私の実家にいる12才の大型ミックス犬を恋しがっています。
 子犬が、かあさん犬のお尻から袋に入って産まれてくる写真を見て、「お尻から出てきてるよ」と驚いています。そして、自分も袋にはいって産まれてきたのか、私のおなかからどうやって産まれてきたのかなど質問してきます。 

<まつりかの感想>
 かあさん犬の母性や、子犬は生まれたばかりのときには目や耳が機能していなくとも、本能でおっぱいを探し、引き離すと声を出すということなどにも改めて感動します.。
 また、かあさん犬は、出産準備に紙を自ら破って、やわらかいベッドを作るということや、一匹ずつ袋に入って産まれてくることなどを初めて知りました。

 こいぬは、わずか2か月で、かあさん犬と離れて、人に飼われても平気なんだそうです。ヒメが2か月の時の写真をアルバムで見ながら、「ヒメは、生後2か月の時はこんなに小さくて一人では何もできなかったのにね~」と言うと、急に涙目になり、絵本の犬を指差しながら「この犬は、もうおかあさんとは会えないの?」と言い出しました。
 人間の2か月と、犬の2か月のでは、これほどまでも成長に違いがあるんだっていうこと、だから実家にいる12才の犬は、「じいじと同じくらいの年で、もうおじいさんなんだよ」と言うと、今度は寿命を心配して涙目に。。。「ヒメが7歳になってもまだ生きてる?」とか「大人になっても生きていて欲しい」と言って、しまいには大泣きしてしまいました 

 しかし、ヒメとこんな会話をすることで、この本の感想が「かわいいね~」だけでないものになったことも、ある意味嬉しく思いました。
 子どもは絵本を読むときに、登場人物に自分を重ね合わせて絵本を体験したり、絵本から離れて現実的な視点から感想を述べるなど、絵本と現実を行ったり来たりします。それを見て親は、子どものそのときの興味や関心を知り、心を読むことができますし、それにより子どもは自分の思いが満たされるのだと思うのです。 
 幼児向けの絵本ですが、性に目覚める小学校中学年くらいにも、いろいろと学ぶものがあるのではないかと思います。

 わゴムはどのくらいのびるかしら

2008-04-18

わゴムはどのくらいのびるかしら   マイク・サーラー/文  ジェリー・ジョイナー/絵  岸田衿子/訳
わゴムはどのくらいのびるかしら?わゴムはどのくらいのびるかしら?
マイク サーラー Mike Thaler Jerry Joyner

ほるぷ出版 2000-07
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<どんな絵本?>
あるひ、ぼうやは、わゴムが どのくらい のびるか、ためしてみることに しました。  

わゴムのはしを、ベッドの わくに ひっかけて、へやの そとへ でてみよう。
自転車にのって、バスにのって、汽車にのって、飛行機に乗って・・・・
とうとうロケットに乗って、月に行って・・・
月に降り立とうと思ったとたんに・・・・

<初めて読んだ4才0ヶ月のヒメの反応>
 ページをくるたびに、「エーッ、エーッ・・」とずっと小声で言い続けていました。読み終えると、「終わり?」と、きょとんとしながら言ったかと思うと、「すごいね。ねえ、わゴムちょうだい」と。
    
<おすすめポイント>
わゴムがどのくらい伸びていくのか、という素朴な疑問に、予想をはるかに超えた壮大なスケールでもって答えてくれるその奇想天外さに、純粋に面白いと感じ、想像力をかきたてられます。 わゴムが伸びる様子を強調するために、時には枠をはみ出るほど、大きく描かれています。飛行機に乗ったり船に乗ったり、やがて月に行くという展開につれて、ぼうやの姿は小さく、背景を大きく描くことで、スケールの大きさを描いています。
ぼうやのお部屋にある、おもちゃ(自転車、汽車、バス、ヨット、らくだ、ロケット、飛行機)と、月の模様の壁紙が、物語に登場しているということが、見返し部分と、物語の最後のページでわかるようになっていて、その絵探しの楽しみもあります。  

<現在4才9ヶ月のヒメの反応>
「ぼうやは ベッドに ちゃくりくしたのさ」という、最後のページで、ベッドの端に、わゴムが垂れ下がっていることと、部屋のおもちゃが物語の伏線に使われていることに気づいて面白がっています。

<まつりかの感想>
 4月13日(日)に表参道のクレヨンハウスで、作者のマイク・セーラー氏のトークショー&サイン会が行われました。
 日本では、この『わゴムはどのくらいのびるかしら』と『ぼちぼちいこか』(過去の記事はコチラ)が有名です。

 まずは、「わゴム~」のお話。ひとりの男の子が(この子がとっても英語が達者で驚きましたが)前に出て、セイラー氏の言葉に合わせて、わごむをひっぱりながら自転車に乗ったりバスに乗ったりする、まねごとをして、ストーリーを紹介。「ボーンとはねたらわゴムが空からふってくるよ」とセイラー氏が言うと、そこにいたみんなで、見えないわごむを取って、ビヨーンとひっぱって・・・大人も子供も空想遊びを楽しみました。

 続いて『ぼちぼちいこか』。セイラー氏が英語でお話を読みながら、「消防士になれるかな?」「ふなのりになれるかな?」という質問にみんなで「NO!」を斉唱。同時にスタッフの方が、関西弁が魅力の訳をつけてくださいましたが、やはり「NO」だけでは物足りないなあ~と感じたのはわたしだけでしょうか。(ご本人を目の前に申し訳ないのですが、訳者の功績あってこそだと思ってしまいました)

 最後は未邦訳の『Black Lagoon』シリーズを紹介。内容は、新学期を迎えて担任の先生が誰になるのか気になっていると、モンスターのグリーン先生に。騒いでいる子を食べちゃったり、先生に物申す子は消してしまったり、頭が痛いという子の頭を小さくしちゃったり。とにかく恐ろしくてどうしよう・・・と思っていたら、それは夢で、本当のグリーン先生はとてもやさしい女の先生でしたというお話。(アメリカではベストセラーだということです) 
 ヒメは、というと、この未邦訳のお話が一番印象に残ったらしく、「グリーン先生ってさあ・・」と帰りの電車でそればかり言っていました。

 また、訳者の今江祥智氏からセイラー氏におくられたお手紙が紹介されました。お互いに70歳を超えておられるそうですが、まだまだこれからもいい作品をつくりたいですね、そして面白いものができあがりましたら、ぜひ訳をさせていただければ嬉しいです、というような内容でした。「ぼちぼち・・」のかばくんの絵が、直筆で添えられたとても素敵なお手紙でした。

BLOG2326.jpgそしてサイン会。ヒメは、例の如く(過去のジョンバーニンガム氏来日サイン会の様子コチラご覧ください)「Hello !」と言って本を差し出していました。名前を聞かれたようで、かろうじて「My name is ○○」と返答していました。
 セイラー氏は、浮世絵風に波が描かれたシャツに、黄色いキャップと黄色いスニーカーという出で立ち。キャップには、ピンがさしてあり、それについてお尋ねすると、「これはイマジネーションペンシルだよ」とおっしゃっていました。ペンに羽が生えたモチーフ。想像力をかきたてて物を作っていきたいという意味をこめた、セイラー氏オリジナルのピンなのだそうです。

セイラー氏の2作品は、どちらも絵がとても印象的で、お話が絵の力にひっぱってもらっているという感じがしていました。
 『ぼちぼちいこか』の主人公のかばくんは、何をやっても失敗ばかりします。でもこの作品で伝えたかったのは「No Perfect」(誰しも完全ではない)ということなのだそうです。
 『わゴム・・・』では、「あなたがた一人一人が、頭の中で想像したわゴムを取ることは、誰もできないんだよ」と言われていました。
 イメージすることは自由であり楽しいことなんだ、そして自分らしくあること、それぞれが特別な存在なんだということなのでしょう。そういう思いで子どものための作品をつくり続けておられるということを知り、子どもに対して真剣な作り手としての姿勢に尊敬の念を抱きました。
 セイラー氏は幼いころから、芸術家になりたいと思っておられたそうです。そしてそのために努力をしてこられたそうです。「何か大きな夢を持って、その目標に向かってあきらめずに努力してください」と会場の子供たちにメッセージをくださいました。

 ヒメの頭の中の、わゴムはどのくらいのびているのかしら?その頭の中のゴムを決して取ることはできない、見ることもできないけど、空想を楽しむキャパシティを広げてあげることは、できるかな。絵本の力を借りながら。

 もりたろうさんのじどうしゃ

2008-04-15

もりたろうさんのじどうしゃ  大石真/文  北田卓史/絵  
もりたろうさんのじどうしゃ (ちびっこ絵本 3)もりたろうさんのじどうしゃ (ちびっこ絵本 3)
おおいし まこと きただ たくし

ポプラ社 1969-06
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<どんな絵本?>
 もりたろうさんは郵便やさんで、来る日も来る日も歩いて郵便を配達していました。
車があればどんなに便利だろうと思っていたもりたろうさんは、60歳で定年したあと、免許を取ることを決意。
 ようやく免許を手にしたもりたろうさんは、車を買うのですが、どれも高くて買えません。手がでるのは、隅に置いてあったおんぼろの中古車。仕方がないので、自分で修理・塗装して。
 ある日、息子から孫の誕生日に来てほしいと手紙をもらい、車で出かけます。しかし、坂道ではエンジンがやけてしまうし、スピードが出ないので他の車にどんどんぬかされてしまいます。
 けがをした犬を拾い手当をして一緒にのせてあげてしばらく走っていると、またまた車の調子が悪くなって、水で冷やそうと思ったもりたろうさんが、川べに車を停めて水を汲みに行っている間に、銀行強盗が空っぽの車だと思い乗り込んできました。アクセルを踏もうとおもったら、足元にいた犬がかみつき、ハンドルを切り損ねて車は川に落ちてしまいます。
 無事銀行強盗は捕まりますが、もりたろうさんは愛車が動かなくなってがっくり。
 しかし犯人を捕まえるのに協力してくれたお礼にと、銀行が新車をプレゼントしてくれました。もりたろうさんは、息子さんとお嫁さんと孫と、犬を乗せて、奥さんに見せに帰りました。
 
<初めて読んだ3才8ヶ月のヒメの反応>
 銀行強盗がやってくる場面のところで大きく反応しています。それまでの穏やかな展開から、急に変わるからでしょうか。新車をもらって、奥さんのところに息子の家族を乗せて帰っていくというハッピーエンドに、ほっとした様子で聞いています。
   
<おすすめポイント>
 定年退職を迎える年齢でありながら、新しいことにチャレンジする姿勢、古いものを自分の手で活かして使う優しい人柄という主人公の設定と、ふいの事件に巻き込まれながらも大手柄をあげるという痛快な展開が魅力。
 大石氏&北田氏のコンビでの作品は数多く、これもその一つ。
 自動車が大好きだという北田氏の描く車の絵は、意外にも精巧に描かれ、とくに、前見返しに描かれている車は、船や飛行機にタイヤが付けられているなどとてもユニークで、氏の遊び心が感じれられます。
 
<現在4才9ヶ月のヒメの反応>
 絵をじっくり見るのは、中古車屋に並ぶ車につけられている値段の箇所。数字をだいぶ理解できるようになってきたので、興味があるようで必ずここで立ち止まります。(ちなみに、もりたろうさんは、1万円の車を買います)
 相変わらず、銀行強盗が出てくる場面にはハラハラし、犬が強盗の足にかみついて車ごと川に落ちてしまう場面には、「ほらね、だから落ちたでしょ」と、悪者がこらしめられる展開に満足しているよう。

<まつりかの感想>
 私は、この絵に非常に懐かしさを感じながらも、ヒメは、表紙をみるなり、「これは読みたくない」と言っていたのです。
 「お母さんが小さい頃読んだことがあるから聞いてね」(実際は『チョコレート戦争』でこの画風を記憶しているのですが)、ということで無理やり読み進めたのですが、じっと聞き入ったあと、「これ面白かった」と言って何度もよみせがむようになりました。

 ヨボヨボのもりたろうさんと、オンボロの車が、第二の人生をスタートしていく様や、せっかく手に入れた車が廃車になったものの、新車をプレゼントされるという展開には、誠実で地道な生活をしているものが報われるという昔話のような要素があり、読後がとても晴れやかです。
 
 初版は1969年。時は高度成長期。日本の自動車産業は世界第3位、自家用車が一般家庭に普及しはじめた時代背景を知ると、主人公のもりたろうさんが、車への強い憧れをもっているという設定にも納得です。
 当時の大卒初任給は3万円(ちなみに新聞購読700円/月、はがき7円/枚、とうふ30円/丁)。もりたろうさんは、絵本の中で「1万円」の値札のついた車を手にしますが、定年退職したもりたろうさんは、もっと高価な車を手に入れることも可能なのでしょうが、つつましい生活と、オンボロの車を修理して使うという精神が温かいなあと感じるのです。

 あとがきによると、作者の大石氏のうちの前を、一台の赤いおんぼろ自動車でいかにも免許とりたての様子だけど、とても楽しそうに運転をしているおじいさんが、通って行ったのを見たことにあるそうです。
 「あの年で運転をならうなんてなんて素敵なんだろう」と思い、とても楽しい気持ちのなかかからこの物語は生まれたのだそうです。そんな作者の心情が存分に伝わってくる楽しい絵本です。

 わたしはだいじなたからもの

2008-04-09

わたしはだいじなたからもの  カール・ノラック/文  クロード・K・デュポア/絵  河野万里子/訳
わたしはだいじなたからものわたしはだいじなたからもの
カール ノラック Carl Norac Claude K. Dubois

ほるぷ出版 2000-11
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<どんな絵本?>
 新学期の最初の日、ロラは新しいお友達のルルに、「うちではなんと呼ばれているの?」と聞かれました。
 ちびちゃんとか、かわいいようせいさんとか、だいじなたからものとか」
 すると、そこに居合わせたみんなに笑われてしまいました。
誰にでも外とは違う、うちでの呼び名があるはずだ、と、ロラは町の人に「こどものころ、おうちで なんてよばれていましたか?」と聞いて回り、その結果、誰にもうちでの呼び名があるということを確認しました。
 ところが、出くわしたお友達に
 「あははは、ようせいさんだってさ! やーい、ちびちゃん」とからかわれます。
 しょんぼりとうちに帰ったロラを見て、パパは「おかえり、ちびちゃん」。ママは「おかえりなさい、かわいいようせいさん」と声をかけますが、ロラは素直になれません。
 パパもママも心配そうに「いったいどうしたの、うちのだいじなたからもの?」と言うと、ロラは歓声を上げて抱きつきます。そう呼ばれるのが一番好きだったのです。
 翌朝、学校に行くとルルが来て、自分もおうちでそう呼ばれたいとロラのことが羨ましかった、そして、ルルも、パパとママに話して自分もそんなふうに呼んでもらうことにしたんだと言います。
 ロラはそれを聞いて、「だいじなたからもの」は、自分だけの呼び名なんだとむくれてしまうのですが、考えなおしてどの子も家族の大事な宝物なんだと納得するのです。
 ロラとルルは大の仲良しになりました。

<初めて読んだ4才2ヶ月のヒメの反応>
 「お母さん、ヒメも大事な宝物?」と聞いてきます。
 「お父さんは●●って呼ぶし、お母さんは△△って呼ぶ。先生は☆☆って呼ぶけど本当は言ってほしくない・・・この前、お友達に◆◆って呼ばれて、それもいいなって思った・・・」などなど。
 
<おすすめポイント>
 「呼び名」を題材にして、成長とともに、人と交わり社会が広がっていく様子が描かれています。
 家族だけが使う愛称に、呼ばれた時の居心地のよさを感じる様子や、お友達とのやりとりの中で嫉妬したり、落ち込んだり、喜んだりという感情の変化など、子どもの内面を、愛くるしいハムスターを主人公に生き生きとかかれています。
 ロラのシリーズは、他に『だいすきっていいたくて』『だきしめてほしくって』『いそがしいっていわないで』(過去ログはコチラ)『ねえ、わたしのことすき?』など。

<現在4才9ヶ月のヒメの反応>
 うちでの呼び名を、ロラがお友達にからかわれる場面では、「人にそんなこと言ったらダメなんだよ」と怒っています。
 以前(4才2か月のとき)と違うのは、ロラとルルが仲良くなったという結末に喜びを感じているよう。お友達と言い合いになったり謝ったりしていく中で、相手の気持ちを理解できるようになるというのを、実生活で体験していることに共感しているのだと思います。

<まつりかの感想>
 ヒメの名前は、私が考え、字画などを調べた上で、文字は夫が考えました。出産前には決めていた名前だけど、いざ産まれてみると「○○ちゃん」と呼ぶのはなんだか堅苦しいと感じるわけで、そこで初めて呼び名というのを考えます。
 すると、夫と私とでは、ヒメをこう呼びたいという意見が違う。圧倒的に一緒に過ごす時間の長い私のほうが有利に働き、ママ友達もその愛称でヒメを呼んでくれていたのですが、言葉を発するようになった時、ヒメは、自分のことを話すとき、夫がつけた愛称を使うではありませんか。そして、1才半の時に現在のところに転居したこともあって、私は自分のつけた愛称を頑なに言い続けるのにも疲れ、結局ここでは、その呼び方を封印し、ふつうに「○○ちゃん」とみんなに呼んでもらっています。
 赤ちゃん時代を過ごした所に遊びに行ったときにだけ、蘇るその愛称。でもヒメは、なじみがないため「みんなが変な呼び方をする」とご不満です。

 訳者の河野万里子さんも、あとがきに書かれているのですが、愛称のつけ方は、日本では名前の音をもとに呼びますが、欧米では小動物やかわいいものにたとえて呼ぶことが多いようです

 抱っこでないと寝かしつけられなかったヒメを、長時間揺さぶり続けるのに腰痛との戦いでした。自分の気持ちも楽になるので、歌を歌いながら抱っこをするようにしていました。
 子守唄や童謡に飽きたら、流行りの曲を歌ったり、それにも疲れたら「眠くなれ~早く寝よ~」とイライラをぐっと抑えて即興で鼻歌を。おかげで創作曲はたくさん出来上がりましたが、その場限りのものばかり。一曲だけ、それなりの歌に仕上がったのが、「○○(ヒメの名前)ちゃん~、○○ちゃん~、おかあさんのたからもの~」というもの。抱っこでの寝かしつけの時期にしか歌っていなかったのに、3歳のときにぬいぐるみを相手にこの歌を口ずさんでいたのには驚きました。 
 この本で、ロラが「だいじなたからもの」とパパとママに言われて歓声をあげ抱きつくシーンになると、「たからもの~の歌、歌って」と言われます。

 子どもが大きくなるにつれて、なんだか照れくさくて、大好きだよ、とか、たからものだよ、って言えなくなってくるけれど、本を通してこんな言葉をかけてあげることで、愛は伝わり、「わたしはだいじなたからもの」と、家族に必要とされている存在意義を確かにすること思います。

 ミムラの絵本日和

2008-04-04

ミムラの絵本日和  ミムラ/著
ミムラの絵本日和ミムラの絵本日和
ミムラ

白泉社 2007-12
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昨年末に出版された本ですが、今年に入ってずっとずっと図書館に予約をかけて、ようやく手元に来たのが3月半ば。
3月24日からの小浜島旅行にぜひお供させたくて、2週間の貸出期限ギリギリになっちゃう?いや、帰ってきてから返却までには1~2日の延滞になってしまうんだけど・・
ごめんなさい、図書館さん。
ってなわけで、小浜島の静かな海を眺めながら岩壁で読みふけりました。

これは月刊『MOE』で2006年1月号から2007年7月号まで連載「ミムラの絵本日和」をまとめ、加筆、再編集したものです。いやはや・・ミムラさんって文才があるなあ。
文才だけではないんですよ、絵の才能も、インテリアの才能もね。
MOEで読んでいたときにはそんなに感じなかったんですが、こうしてまとめられたものを読むと、彼女のそういった魅力を存分に感じられました。

なんていうのかしら・・身近にいたら、ぜひお友達になってほしい人・・って感じでしょうか。
ここに紹介されている絵本は20冊弱ですが、一冊ごとのエピソードはとても楽しく、ミムラさん独特の言い回しでその絵本の魅力が語られています。また、彼女のお部屋も写真公開されていたり、作家さんとの対談も掲載されています。

月9『ビギナー』の主役として彗星の如く世に現れ出た彼女。
変わった芸名と、謎めいた存在もあって当時話題になりましたが、ドラマを見ての印象は、長いセリフを滑舌良く話す女優さんだなあという感じ。
その後『着信アリ』での演技を見たけれど、以来それほど目にとまらなかったんですが、MOEでライターとして登場されるようになり、俄然私の中で注目の人に。
3月で終わった『斎藤さん』を見ている時も、主役の観月さんよりも、ミムラさんのほうに目が行ってしまいますね。私にとってミムラさんは、女優さんである以上に文筆家としてのイメージのほうが大きくなってしまっていたためでしょうか。

あとがきにはこう書かれています。
「わたしにとっての絵本は、コアラにとってのユーカリ、日本人にとっての白米、地球にとっての大気と水です。なくなったら生きていかれないかもしれないくらい、大好きです。絵本という扉によってひらける、鮮やかな色合いと、確かな手触りのある世界を、これからも楽しみたいと思います。」

ね、素敵な言葉で語られていますでしょ?

ところで・・・この本を小浜島までお供させた甲斐?。。。ちゃんとありましたよ。
彼女のピュアな文章は、小浜島の豊かな自然、澄んだ空気を舞台に、私のココロを洗い上げてくれました。
幼いころから、お母様に読んでもらうのが日常で、絵本を手に取れる環境に育ったそうです。私もヒメにそんなふうに無理なく自然に絵本を読んでいきたいな、って思えました。
プロフィール

まつりか

Author:まつりか
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・まつりか
 現在は神奈川県在住ですが、転勤族のためいろんな方言が話せます。
 子どもが生まれてから、絵本の読み聞かせの楽しさにはまり、読書記録をつけていたものを形にしたいと思ってブログを立ち上げました。
 NPO法人「絵本で子育て」センターの絵本講師として、絵本で子育てすることの大切さをつたえていく活動をしています。
・家族
 ♪サラリーマンの夫
 ♪2003年生まれの娘(12歳)・・結婚7年目で授かった 我が家のプリンセス。
 通称:ヒメ。小学6年生です。 

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