わゴムはどのくらいのびるかしら マイク・サーラー/文 ジェリー・ジョイナー/絵 岸田衿子/訳
<どんな絵本?> あるひ、ぼうやは、わゴムが どのくらい のびるか、ためしてみることに しました。 わゴムのはしを、ベッドの わくに ひっかけて、へやの そとへ でてみよう。 自転車にのって、バスにのって、汽車にのって、飛行機に乗って・・・・ とうとうロケットに乗って、月に行って・・・ 月に降り立とうと思ったとたんに・・・・ <初めて読んだ4才0ヶ月のヒメの反応> ページをくるたびに、「エーッ、エーッ・・」とずっと小声で言い続けていました。読み終えると、「終わり?」と、きょとんとしながら言ったかと思うと、「すごいね。ねえ、わゴムちょうだい」と。 <おすすめポイント> わゴムがどのくらい伸びていくのか、という素朴な疑問に、予想をはるかに超えた壮大なスケールでもって答えてくれるその奇想天外さに、純粋に面白いと感じ、想像力をかきたてられます。 わゴムが伸びる様子を強調するために、時には枠をはみ出るほど、大きく描かれています。飛行機に乗ったり船に乗ったり、やがて月に行くという展開につれて、ぼうやの姿は小さく、背景を大きく描くことで、スケールの大きさを描いています。 ぼうやのお部屋にある、おもちゃ(自転車、汽車、バス、ヨット、らくだ、ロケット、飛行機)と、月の模様の壁紙が、物語に登場しているということが、見返し部分と、物語の最後のページでわかるようになっていて、その絵探しの楽しみもあります。 <現在4才9ヶ月のヒメの反応> 「ぼうやは ベッドに ちゃくりくしたのさ」という、最後のページで、ベッドの端に、わゴムが垂れ下がっていることと、部屋のおもちゃが物語の伏線に使われていることに気づいて面白がっています。 <まつりかの感想> 4月13日(日)に表参道のクレヨンハウスで、作者のマイク・セーラー氏のトークショー&サイン会が行われました。 日本では、この『わゴムはどのくらいのびるかしら』と『ぼちぼちいこか』(過去の記事はコチラ )が有名です。まずは、「わゴム〜」のお話。ひとりの男の子が(この子がとっても英語が達者で驚きましたが)前に出て、セイラー氏の言葉に合わせて、わごむをひっぱりながら自転車に乗ったりバスに乗ったりする、まねごとをして、ストーリーを紹介。「ボーンとはねたらわゴムが空からふってくるよ」とセイラー氏が言うと、そこにいたみんなで、見えないわごむを取って、ビヨーンとひっぱって・・・大人も子供も空想遊びを楽しみました。 続いて『ぼちぼちいこか』。セイラー氏が英語でお話を読みながら、「消防士になれるかな?」「ふなのりになれるかな?」という質問にみんなで「NO!」を斉唱。同時にスタッフの方が、関西弁が魅力の訳をつけてくださいましたが、やはり「NO」だけでは物足りないなあ〜と感じたのはわたしだけでしょうか。(ご本人を目の前に申し訳ないのですが、訳者の功績あってこそだと思ってしまいました) 最後は未邦訳の『Black Lagoon』シリーズを紹介。内容は、新学期を迎えて担任の先生が誰になるのか気になっていると、モンスターのグリーン先生に。騒いでいる子を食べちゃったり、先生に物申す子は消してしまったり、頭が痛いという子の頭を小さくしちゃったり。とにかく恐ろしくてどうしよう・・・と思っていたら、それは夢で、本当のグリーン先生はとてもやさしい女の先生でしたというお話。(アメリカではベストセラーだということです) ヒメは、というと、この未邦訳のお話が一番印象に残ったらしく、「グリーン先生ってさあ・・」と帰りの電車でそればかり言っていました。 また、訳者の今江祥智氏からセイラー氏におくられたお手紙が紹介されました。お互いに70歳を超えておられるそうですが、まだまだこれからもいい作品をつくりたいですね、そして面白いものができあがりましたら、ぜひ訳をさせていただければ嬉しいです、というような内容でした。「ぼちぼち・・」のかばくんの絵が、直筆で添えられたとても素敵なお手紙でした。 そしてサイン会。ヒメは、例の如く(過去のジョンバーニンガム氏来日サイン会の様子 コチラご覧ください)「Hello !」と言って本を差し出していました。名前を聞かれたようで、かろうじて「My name is ○○」と返答していました。セイラー氏は、浮世絵風に波が描かれたシャツに、黄色いキャップと黄色いスニーカーという出で立ち。キャップには、ピンがさしてあり、それについてお尋ねすると、「これはイマジネーションペンシルだよ」とおっしゃっていました。ペンに羽が生えたモチーフ。想像力をかきたてて物を作っていきたいという意味をこめた、セイラー氏オリジナルのピンなのだそうです。 セイラー氏の2作品は、どちらも絵がとても印象的で、お話が絵の力にひっぱってもらっているという感じがしていました。 『ぼちぼちいこか』の主人公のかばくんは、何をやっても失敗ばかりします。でもこの作品で伝えたかったのは「No Perfect」(誰しも完全ではない)ということなのだそうです。 『わゴム・・・』では、「あなたがた一人一人が、頭の中で想像したわゴムを取ることは、誰もできないんだよ」と言われていました。 イメージすることは自由であり楽しいことなんだ、そして自分らしくあること、それぞれが特別な存在なんだということなのでしょう。そういう思いで子どものための作品をつくり続けておられるということを知り、子どもに対して真剣な作り手としての姿勢に尊敬の念を抱きました。 セイラー氏は幼いころから、芸術家になりたいと思っておられたそうです。そしてそのために努力をしてこられたそうです。「何か大きな夢を持って、その目標に向かってあきらめずに努力してください」と会場の子供たちにメッセージをくださいました。 ヒメの頭の中の、わゴムはどのくらいのびているのかしら?その頭の中のゴムを決して取ることはできない、見ることもできないけど、空想を楽しむキャパシティを広げてあげることは、できるかな。絵本の力を借りながら。 ![]() |
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