100まんびきのねこ ワンダ・ガアグ/作 石井桃子/訳
<どんな絵本?> 年をとったおじいさんと、おばあさんは二人きりの生活で、とてもさびしく、ねこが一匹いたらいいな、という、おばあさんのために、おじいさんは、丘を越えてねこを探しにでかけました。 長い間歩いていくと、とうとう、ねこでいっぱいの丘に出ました。 そこにも ねこ、あそこにもねこ、どこにも、かしこにも、ねこと こねこ、ひゃっぴきの ねこ、せんびきの ねこ、ひゃくまんびき、一おく 一ちょうひきの ねこ。 おじいさんは、どのねこを見てもかわいく思えて、とうとう、そこにいるねこを、みんな連れて帰ることになりました。 おばあさんは、あまりのねこの数に驚き、これだけのねこを養うと自分たちが食べていけなくなると言い、どのねこを家に置くか、ネコ自身に決めさせることにします。 「おまえたちの なかで、だれが いちばん きれいな ねこだね?」 「わたしです!」「ぼくです!」「いいえ、わたしです!」 どのねこも自分が一番だと思っていたので、大変な騒ぎになり、家に逃げ込んだおじいさんとおばあさんが、しばらくして窓の外を見てみると、あたりは静かで、草の間に一匹だけやせこけたねこがいました。他のねこは、みんなで食べっこしてしまったのです。 一匹だけ残ったのは、自分のことを、みっともないねこだと思っていたので、だれもかまわなかったから。 おじいさんとおばあさんは、このねこをきれいにして、ミルクを飲ませ、大切にかわいがりました。 「この ねこは、やっぱり とても きれいですよ!」・・・ 「いや、この ねこは、せかいじゅうで いちばん きれいな ねこだよ。わたしには、ちゃんと わかるんだ。だって わたしは、ひゃっぴきの ねこ、せんびきの ねこ、ひゃくまんびき、一おく 一ちょうひきの ねこを みてきたんだからねえ」と、いいました。 <初めて読んだ4才3ヶ月のヒメの反応> ねこたちが食べあう・・・ということ=殺し合いをした、ということに、しばらく考えてから気づき、それを想像して「こわいね〜こわいね〜」と繰り返していました。 最後のページにある、おじいさんとおばあさんの結婚式の写真?と思われるものが壁にかけられているのを見て、「この人たちも、若い頃があったんだね」と、何やら感慨深げな発言をしています^_^; <おすすめポイント> 全編モノクロで、細密な筆使いで、数えきれないほどのネコや、風景が描かれています。 横長の判型をうまくつかって、おじいさんが、長い道のりを経てネコを探しに行く動きをあらわすなど、画面の連続性に注意をはらって作られています。 「ひゃっぴきのねこ、せんびきのねこ・・」のリフレインは、おびただしい数のネコがいる様子を、リズミカルにうたっています。 1928年に初版。原題は『MILLIONS OF CATS』 見開きをいっぱいに使い、奥行きのある構図で描かれた絵は、文章でなく絵そのものが物語っているという点で、近代絵本の草創期の代表とも言われる作品。 <現在4才10ヶ月のヒメの反応> 「ひゃっぴきのねこ、せんびきのねこ・・・」のフレーズになると、ここぞとばかりに声高らかに唱和しています。 おじいさんが長い道のりを歩いていく様子を描いている場面では、その道のりを指でたどって楽しんでいます。 白黒で描かれた絵は、よ〜く見ると、なんだか気持ち悪く感じるところが多々あるようで、とくに山肌や草を細かく描いている絵には、「わーこれ気持ち悪い 」と叫びながら手で覆っています。<まつりかの感想> 今から80年も前の作品でありながら、全く古さを感じさせません。色味は全くない、モノクロの絵は、子どもを最後まで飽きさせず、むしろぐいぐい引き込んでいく力があります。 そして、訳はやっぱり・・石井桃子さん。意表をつくシュールな展開の物語でありながら、美しい日本語使いに、読後は後味も良く、余韻を感じられます。 見開きの使い方や、構図、文章ありきの挿絵ではなく、絵で物語を運び、絵そのものを楽しむという点など、それまでの絵本では考えられなかったといわれていますが、今では当たり前に思われることでも、当時の人にとってはどんなに斬新に感じられたことでしょう。 絵本の冒頭にある文章↓ ふたりはこぢんまりした きれいな いえに すんでいました。そして、いえの まわりには、ぐるっと はなが さいていました。それでも、おじいさんと、おばあさんは、しあわせでは ありませんでした。ふたりは、とても さびしかったのです。 そして・・ 絵本の最後のページには↓ おじいさんが葉巻をくゆらしながら椅子にすわり、おばあさんも椅子に座って靴下を編みながら、足元で毛糸とじゃれているネコを眺め、壁には二人の結婚式の写真が飾られているのです。 そこには、「ねこのおかげで、昔のような幸せが訪れました」とでもいうように、晩年を迎えた老夫婦が、ねこを飼うことで幸せを感じているのがわかります。 きっと、ねこが来るまでは、こんなふうに二人でテーブルをはさんでゆっくり時間を過ごすことが、何年もなかったんじゃないかと想像させるような。 「かわいくてちいさくてふわふわしたねこ」が欲しいというおばあさんのオーダーに、おじいさんが必死でこたえようとする様子、そしてとんでもない数のねこを連れて帰ってしまうところに、おばあさんが、少し怒っているような言葉を発するのをみても、おじいさんとおばあさんの力関係をうかがえたりして。。80年前も、妻の方が夫より強かった ![]() ![]() |
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