ジェインのもうふ アーサー=ミラー/作 アル・パーカー/絵 厨川圭子/訳
<どんな絵本?> ジェインというおんなのこが いました。 やっと はいはいができる あかちゃんです。 ジェインのもうふは、ピンクで、ふんわりして、あったかーい あかちゃんもうふです。 このピンクのもうふがありさえすれば、ご機嫌。寝るときはいつもこのもうふを抱きしめています。 一センチ、一センチ、ジェインのせいは、たかくなって いきました。 かくれんぼやおにごっこができるようになり、ドアに手が届くようになっても、このピンクのもうふを「もーも」と呼んで、寝るときはやはりこの「もーも」を探します。 もっともっと大きくなって、ある日ジェインは、目をさますと「もーも」がなくなっているのに気がつき泣き始めます。お母さんは、すりきれてぼろぼろになり、体をくるむこともできなくなった、「もーも」を終いこんでいたのでした。 小学生になったある日の夜、寝ようとしときにはっと「もーも」がないことに気づきました。 「あたしの もーもは どこ?」 「あら、ジェイン、あのもうふは、もう ずっと まえから、 つかって いなかったじゃないの。」 お母さんが引き出しにしまいこんでいた、「もーも」は、ほんの小さな切れっぱしになっていました。 ジェインはそれをもらって、部屋の窓のところに置いていました。ある朝、窓辺に青い鳥が1羽、「もーも」から糸を引きぬいています。 ジェインは驚いて、お父さんとお母さんを呼びにいきますが、 「あのとりはね、もうふの いとを つかって、とりのすを つくっているんだよ。」と、鳥の赤ちゃんがやわらかい巣の中で暮らせるように、糸をしいているんだと、お父さんがいいました。 「もーも」がここにないさみしさはあるけれど、その代り、どこかの木で、「もーも」の中で眠っている鳥の赤ちゃんがいると思うと「もーも」をあげてよかったと、ジェインは思うのです。 そして、 ジェインは、じぶんが おおきくなって、もう、あのちいさな「もーも」が いらなくなったことを、ほんとうにうれしいと おもいました。 <初めて読んだ3才8ヶ月のヒメの反応> ヒメは、この本を読んで、自分にはお気に入りの毛布というものがないことに気づき、「わたしのもーもってどれ?」と聞いてきました。仕方がないので、肌身は出さなかったわけではないのだけれど、赤ちゃんのころ使っていた、ピンクのタオルケットを渡すと、「もーもだ」と、満足げに、それを抱いて寝ていました。 <おすすめポイント> 劇作家であるアーサー=ミラー(マリリン・モンローの3番目の夫でもありました)が子どものために書いた初めての童話。ジェインにとって、どれだけ毛布が不可欠なものだったかや、赤ちゃんがから少女への成長過程の描写は、劇作家ならではの繊細さと巧みさがあります。 挿絵は、モノクロの中に、唯一毛布だけがピンク色で描かれています。特に、小さくぼろぼろになった「もーも」をしげしげと眺め、いとおしく思っている場面の挿絵は、その唯一のピンクが効果的です。 原題は『JANE'S BLANKET』 <現在4才11ヶ月のヒメの反応> ジェインが、しばらく使っていなかった毛布のことを突然思い出し、「もーもはどこ?もーもを出して」とだだをこね、それに対しておかあさんが戒める場面のセリフを読むときに、ついつい、いつもヒメを叱るときのように強い語気で読んでしまうのを、「お母さん怖い読み方しないで〜 」と悲しげに訴えてきます。ごめんごめん・・つい力が入ってしまうのよ。 「あかちゃんのときには できなかったことが いまではたくさん できるようになりました」という言葉がお気に入りです。 <まつりかの感想> 赤ちゃんのころから、これだけは手放さないお気に入りのもの、というのは、ヒメにはありませんでした。あえていうなら・・3歳まで、離せなかったのが、左の親指 。そう、指しゃぶりです。私自身は幼いころあるバスタオルがお気に入りだったようで、どこへ行くにもそのバスタオルをずるずる引きずって歩いていたそうです。 そう言われても、自分のことは漠然としか思い出さないのですが、2歳下の妹が、ミッフィーのタオルケットの角に異様に執着していたことは、よく覚えています。4角あるけれど、一つの角を自分の鼻の下に押し当てて、においをかいでいるのか、ふわふわを楽しんでいるのか??。その角は真っ黒になっていました。あまりに汚れがひどいので、母が洗って干していると、その下に座りこんででも、鼻に押し当てていたのを思い出します。妹が、いつそのタオルケットを卒業したのか、手放すときにどういう気持ちだったのかはわかりませんが、きっと、「気がつけばなかった」というのが一般的なのではないでしょうか。 しかし、ジェインは、お気に入りの毛布と素敵な卒業をすることができました。ジェインが自分の毛布を小鳥に持っていかれてしまいさみしがっているときに、お父さんがいう言葉「ジェインが心の中でもうふのことを思い出すと、もうふはまたジェインのものになるんだよ」。この言葉に納得し、毛布が自分には不要になり、鳥にあげることを喜びに思えるのです。 過去と比較して、自分がどれだけ成長しているか、たとえばピアノが弾けるようになった、鉄棒ができるようになった、自転車に乗れるようになった・・などなど。「以前はできなかったことができるようになった」ということで子ども自身、成長を実感していきます。 また、過去に使っていたものが小さくなったり古くなったのを見ることで、「ものが小さくなって必要なくなった」、つまりそれだけ自分が大きくなったことなんだと感じるでしょう。 この本では、ジェインの成長描写が、この2つを交互に使ってあらわされています。あんなことも、こんなこともできるようになったけど、だからこそ使わなくなったりいらなくなったりするものがあるんだということ。 ヒメが使っていたおもちゃや、洋服なども、あっさり人に譲ったり捨ててしまうことがあるのですが、手放す前に、ヒメ自身があらゆる意味で納得し、大きくなったことを喜べるような働きかけをしてみようかなとも思いました。 「ジェインのもうふ」と同じくらいの価値は、「ヒメの左手の親指」。指しゃぶりをしている子どもを見かけると、自分の親指を見つめながら、「前はね〜、ここに吸いダコがあったんだよね。でも今はきれいになくなったね」と言います。吸いダコも、今となってはとても懐かしく貴重なのです。大好きだった親指と、決別した2年前。現在の、タコのないきれいな親指こそが、ヒメにとって成長を実感するものなのかもしれません。 ![]() |
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