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 講演会『クシュラの奇跡』をめぐって

2006-09-17

9月16日(土)東京・銀座の教文館ナルニア国にて、
『クシュラの奇跡』の訳者である、百々佑利子氏による講演会が開かれました。
演題は”『クシュラの奇跡』をめぐって”子どもの成長と本の力
1984年に出版され、大きな反響を呼び、読まれ続けてきたハードカバー『クシュラの奇跡』~140冊の絵本との日々が、22年の時を経て、ソフトカバーで普及版が出版されたのを記念しての講演でした。

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講演内容は、著者のドロシー・バトラー氏のエピソード、出版にいたるまでの経緯や、クシュラがどのように本と接し言語の発達をとげていったか、クシュラが好んだわらべ歌や子守唄・言葉遊びをCDで聞き、普及版の巻末にも書かれている、その後のクシュラについてのお話などがありました。

著者のドロシー・バトラー氏はニュージーランド在住で現在80歳。
元々は主婦で8人の子どもがいました。
次女パトリシアが20歳の学生のときに子どもが生まれます。それが、クシュラです。
しかし、クシュラは生まれながらに染色体異常による重度の障害をもっていました。
クシュラの父親も21歳の学生。
若い両親を手助けするために、祖母であるドロシー・バトラー氏は子育て支援にのりだします。
母親のパトリシアは、クシュラの成長記録を細かくつけ、本書はその記録を祖母であるドロシーが論文にまとめたものです。

クシュラは、眼球がふらつきなかなか焦点をあわせられませんでしたから動くおもちゃを目で追う事は困難でした。ただ、絵本のように動かぬものは、時間をかけて焦点をあわせることができるとそれに大きく反応をしていたのです。
生後4ヶ月で絵本をはじめて見てから、3才9ヶ月までに、クシュラは140冊の本を1冊につき、ときには何百回もよんでもらうことで、文章や言葉を記憶し日常生活で使えるようになります。学校に行くようになってからは、書き言葉にも、本で覚えた内容が出てくるようになったということです。
生まれてすぐに、医者に知恵遅れと診断されながらも、祖母、両親ともにクシュラの知能が発達する可能性を信じ、献身的な愛で日々接します。それにより、文字通り奇跡的な知能の発達、とくに言語に関わる発達は素晴らしかったのです。

 この本は1979年に原著が出版されていますが、日本での出版は1984年です。障害児問題についての内容ということもあり、すんなり出版にはいたらなかったそうです。
 今回の普及版では、「その後のクシュラ」について書かれています。
現在クシュラは、政府の公的援助の下、共同住居に他の障害者と、お世話をしてくれるスーパーバイザーの5人で生活をしているとのことです。
 また、20歳で母親になったパトリシアは、クシュラと姉妹のように暮らしていたそうですが、娘の自立を願い彼女を共同住居に入れたあとは、自分も別の共同住居でボランティアとして障害児の支援に取り組んでいたそうです。しかし、数年前、40歳半ばにして突然お亡くなりになったとのことでした。
 亡くなる数ヶ月前、ニュージーランドを訪れた百々氏に対し、パトリシアは
「私はクシュラが礼儀正しく、品のある人に育ったことが嬉しい」といわれたそうです。
 子どもの発達や言語の発達に、本がいいといわれているけれど、それは何を目的に言っているのかというと、百々氏は、パトリシアの言葉を思い出すそうです。・・・人間が人間であるためにいつどんなことがあっても礼儀正しく品があることを本は教えてくれると。

 わたしはこの本のハードカバー版を、絵本講師の勉強をしているとき参考文献として読みました。
 障害に真正面から取り組んだ若い両親の記録と、クシュラの奇跡的な発達に感動すると同時に、クシュラのかけがえのない友達であった絵本の力に驚きました。体の自由がきかないクシュラが、絵本を通して知った様々な世界は彼女の心を豊かにし、健常児以上の言語能力をもち、こころ優しい女の子に育っていく事に。
 障害児を持つ親にとって、絶望的な日々に感じられることもしばしばであろうと思います。クシュラの母親が、子どもと長い時間接するためにどうしたらいいかということで、絵本の読み聞かせをしたことが始まりなのですが、結果、クシュラの細かな成長をみることで母親の心も安定し、親子が共に楽しめる時間となったわけです。 絵本を仲立ちにして優しい母の声で語られることで、クシュラは、言葉を覚え、生きていくことの支えとなる世界を絵本から学び取ります。
 絵本の力、読み聞かせのはぐくむものについて実証された感動的な実録本です。

 普及版になってお求めやすくなっています。わたしもハードカバーは図書館で借りて読んだのですが、こちらは購入いたしました。
 講演のあとサイン会もあったのですが、時間がなくて・・・非常に残念でした。
 
 


  
 
 





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クシュラの奇跡―140冊の絵本との日々

ドロシー バトラー, Dorothy Butler, 百々 佑利子 クシュラの奇跡―140冊の絵本との日々 生まれつき重い障害と闘うクシュラの奇跡を綴った本。今日は絵本の紹介ではありませんが、クシュラも絵本が大好きな少女で成長発達は、健常児と比べると、はるかに遅

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非公開コメント

いろいろと考えさせられますね。
うちの甥っ子も障害を持っていますが、私が絵本がスキになったのも
その母親である彼女からの影響が大きいんです。
以前私が気分がのらない日に絵本をみながら娘に適当に創作でお話を読み聞かせしていることを知った彼女が、
絵本っていうのは同じ内容を読み聞かせることが大事なんだよ、と教えてくれました。
私的には絵本はみるものっていうスタンスはかわらないのですが、何度も何度も時間をかけて読み聞かせすることの大事さを知りました。

私も、先日、読んだばかりで、絵本に、こんな力があるのかと驚いたものです。
娘たちが通う小児科で待合の時間に、
子ども達を見てくれる保育士さんがみえます。
その方が、おっしゃっていたのが、
「絵本は、一度に何冊も見せるより、
子ども達は1冊の絵本をいろいろと空想し楽しむので
1冊の絵本をじっくり読んであげるのが、いちばんですよ!」ということでした。
それから、なるほど~!と思って、何冊も読むのは控えるようになりました。
心掛けていることは、好きな絵本を何度も読むことと、
新しい絵本を1冊読むという習慣をつけました。

TBさせてください。
どうぞ宜しくお願い致します。

まつりかさん、おじゃましています。
素敵な本のご紹介、ありがとうございます!

じっくり読むこと。
私自身も長男も量産型(?)で、たくさんの本を次から次へと読んでいくタイプです。
次男が生まれてはじめて、同じ本を繰り返し繰り返し読むことの楽しさも知りました。
私は、本の読み方は子ども任せ。
自由に本棚から出して、好きなペースで好きな本を好きなだけ読むようにしていますが、
「お気に入り本」を手にした子どもの目の輝きは、親にとっても至福ですよね。
内容から逸れちゃったけど、そんなことを思いました。

りんごさん
甥っ子さんをとりまく全ての人が温かい愛情で守ってあげることで彼のこれからの人生はかならずや幸せになれると信じています。
絵本って、わずか数十ページに作者や編集者といったプロによる厳選された言葉と絵とで物語られているんで、それをそのまま淡々と読んであげるだけでいいと思うんです。逆に創作したりすると子どもにとっては、絵とマッチしてないことに違和感を覚えて心から楽しめないかもしれないし。

nao-yuuka-ayuchan5さん
TBありがとうございました。
この本は、クシュラの成長と共に読んだ本のリストも載っていて参考になりますよね。
子どもに絵本を選ぶのって難しいかもしれないけれど、基本的には大人と子どもがおもしろそうだと感じるものであればいいと思います。
「良書といわれているのに、わが子は全く好きになってくれない。おかしいんじゃないか」・・・なんて思う必要もないし。
昨日はこの本が好きだったけど今日は嫌いってこともありますしね~~。
わたしも、1冊の本を丁寧に心をこめて読んであげることって大切だと思います。

わかなさん
子どもが「これ読んで」と持ってくるときは嬉しくなります。
ああ今日はこんな気分なんだな~なんていう子どもの心理も読めたりして。
だからできるだけ絵本は購入して、読みたいときにいつでも手にとれるような環境をつくってあげられたらいいですよね。

とうとう普及版がでたのですね。知りませんでした。改めてハードカバー版の値段を見てびっくり。でもあの黄色い大きな本は「児童文学評論」の棚でひときわ目立つ1冊で、よく売れるというイメージがありました。

普及版が出て、より多くの人がこの奇跡を知ってくれるとうれしいです。

絵本の力をすごく感じさせてくれる本ですもんね!

まつりかさんの記事を読んで、この本を読んでみたくなりました。
うちの子も、ときに読み終わるとすぐ、「もう一回」と言って、続けて2~3度読まされることがあります。
大人の感覚では分かりませんが、子どもにとってはとても意味のあることなのですね。
とてもためになること、いつも教えていただいています。
ところで、リンクを貼らせていただいてもよろしいでしょうか?

わたしもこの本を読んで、絵本の持っている素晴らしさをあらためて感じました。
ダウン症の子でも、周りの大人の接し方で、知能指数にも大きな開きがでると何かで知りました。
障害を持ってこの世に生をうけても、「クシュラ」はとても幸せな家庭で育ったといえるでしょう。
何せ、絵本の素晴らしさを知らずに大人になる人々がどんなに多いことか!!

教文館に行かれたのですね!
講演を聴きに行かれるなんて、さすがですv-237
あそこは、選りすぐりの絵本がとても充実していますよね。

「くりくり」を読みましたv-219
あのくりのオンパレードを楽しくリズミカルに読んでいますv-353

kayoさん
そうですね。
絵本論としてだけでなく医学の方面からも注目された本ですので、あのハードカバーには威厳がありました。
普及版により多くの人に読んでもらえればいいですよね。


huuyuuさん
リンクの件、喜んで。
わたしは、すでにはらせていただいてまして、すみません。
今後ともよろしくお願い致します。

アテナさん
絵本を読んでもらう事は親子の絆を大いに深めてくれるんだってこと、クシュラは証明してくれていますよね。
教文館好きなんですよ~~まあそれ以上に、銀座が好きi-80めったに行けないですけど、なんだか背筋をピンと伸ばして歩きたくなる感じがよいです。
「くりくり」楽しんでもらえてよかったです(^^)/

先日、nao-yuuka-ayuchan5さんのブログで見て、普及版を知って、今読みかえしているところです。
絵本の力ということ、読むということ、続けるということ・・・様々な思いがありました。

知人がこの本を読んで、難病を持つわが子への読み聞かせをはじめたとのことで、超健康児を持つ私と話すのつらそうだったため、直接は会いにいけませんが、絵本を贈ることで協力したいと続けております。
すべての人に、この「クシュラの奇跡」が起こることを願います。

絵本の持つ力というのはすごいのですね。
丁寧にじっくりと、そして愛情をこめて読まなくてはいけませんね。
動かないものなら見れる→絵本を読んで見る
こういう発想がすばらしいと思いました。
わが子の視線にあわせた育児、そこに深い愛情を感じます。
絵本を通して子供の細やかな発達を見る。
これ、わかるような気がします。
毎回反応が違ってたり、成長が伺えたりしますもの。
うまくいえませんでしたが、この記事に共感しました。

ひとときさん
本当ですね。
この本の訳者である百々さんもおっしゃっていましたが、障害者だからこその集中力をもって絵本に関心を寄せたともいえると。つまり、クシュラは絵本が退屈だったとしても走って逃げることもできなかったし、視点が定まらないから動くものを見るのが困難であるため、静止している絵本がちょうど良かったのだそうです。
障害への見方を変えれば、プラスに働くことも多いということがあります。
絵本プラスそこに愛情があったからこそ、クシュラの奇跡は起きたのだと思います。


うっちゃんさん
嬉しいお言葉を頂戴してありがとうございます。
絵本が教材のように使われてしまったり、読み聞かせに効果を期待してしまうことが多いでsからね。この本は、とても大切なことに気付かせてくれますよね。

図書館から、ハードカバー版を借りて読んでみました。
絵本のすばらしさを改めて感じたり、何よりクシュラの両親の愛情の深さを感じた1冊でした。
まつりかさんとの出会いがなければ、この本とは、恐らく出会うこともなかったでしょう。ありがとうございます。
そして、チビとの絵本との時間はやはり、親子が一緒に過ごせる時間として大切にしていきたいと改めて思いました。
プロフィール

まつりか

Author:まつりか
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・まつりか
 現在は神奈川県在住ですが、転勤族のためいろんな方言が話せます。
 子どもが生まれてから、絵本の読み聞かせの楽しさにはまり、読書記録をつけていたものを形にしたいと思ってブログを立ち上げました。
 NPO法人「絵本で子育て」センターの絵本講師として、絵本で子育てすることの大切さをつたえていく活動をしています。
・家族
 ♪サラリーマンの夫
 ♪2003年生まれの娘(12歳)・・結婚7年目で授かった 我が家のプリンセス。
 通称:ヒメ。小学6年生です。 

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