前の記事、『さっちゃんのまほうのて』(コチラ⇒)をうけて、
本当におかあさんになった、「さっちゃん」の本を紹介します。 著者である、長塚麻衣子さんは、『さっちゃんのまほうのて』の共同制作者の一人である野辺明子さんのお嬢さんです。 お母さんの手、だいすき! 長塚麻衣子/著 黒井健/絵
産まれたときから彼女の右手には、指らしい指は親指だけで、かろうじて短い小指とあとの三本は豆粒のような形のものがちょっとあるだけで、掌の大きさも左手の三分の一くらいしかなかったそうです。一歳のときに手術をし、親指と小指の2本を残したということです。 生まれてしばらくは外出するときにも手袋をしていたという両親が、手袋をとり、近所の人に打ち明ける決意をしたときの気持ち、『さっちゃんのまほうのて』にもあった、ままごと遊びでお母さんになれないとお友達にいわれるのを実際に経験していること、小学校では温かい先生や友達との出会いの一方いじめられたこともあるというエピソードなどなど・・中学、高校、大学、就職、そして結婚し、2児の母になるまでに、右手の障害とどう向き合って生きてきたのか、心の葛藤や周囲の人への感謝など、とても素直に書かれています。 私がこの本でもっとも印象に残ったのは、著者が、高校の学園祭で出会う、署名運動のおばさんとのやりとりについて。 内容は・・・・当時、学校を取り巻く植林の山をゴルフ場にする計画がもちあがっていて、そこに使われる農薬の問題や山の生態系の破壊を問題視する人々が署名を集め、プリントを配っていたというのです。そこには、ゴルフ場建設反対理由の一つに、「川の水が汚れその川の魚を食べたらいつか奇形児が生まれてしまうかもしれません」というくだりがあり、このことについて、プリントを配っていたおばさんに問いただすと、「障害者を差別しているわけではないが、できれば五体満足で生まれてきたほうが親にとっても赤ちゃんにとっても幸せでしょう」と言われたというのです。 自分の誕生を”生まれてしまった”と思いたくなく、”自然に生まれた”と思いたかった。どんなに水がきれいになっても自然や人体を破壊する環境化学物質を除去しても進化の過程でハンディキャップをもつ人間はうまれてくるんだ。原因があろうがなかろうが、ハンディキャップをもつ赤ちゃんは、やはり他の命と同じように祝福されて生まれるべきだ、排除すべき命なんてあるのだろうか。 このことは、著者が自身の障害を考えるうえで大きなきっかけになったそうです。 障害があるのはかわいそうだ、障害がなくてよかった・・そんな気持ちや決めつけた言葉でなく、障害があることを自然に受け入れる、感じられることが本当の優しさなのでしょう。そして、生まれてこなければよかったという命はないということを、真摯に受け止められました。 本当にお母さんになった「さっちゃん」の姿をしってほしいという思いから執筆されたこの本。タイトルの「お母さんの手、だいすき!」は、著者が自分の子どもたちにそう言ってほしいという願いからつけたものだそうです。 長塚さんは、この本を書いたことの意味をこのように語っています。 「障害をもつ人間がごく身近に存在することをリアルに感じてもらうこと、社会が少しでも障害について話し合いやすいものに近づき障害者の存在は認めるが、五体満足にこしたことはないという多くの想いに今一度風を吹かすことができたら、こんなにうれしいことはない。」 ![]() |
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まつりかさん、ご無沙汰しています。
今回の記事の最後に載せられた長塚さんの言葉、 全くその通りだとおもいます。 以前よりも障害者を理解するようになってきた日本社会ですが、 まだまだ人々の心の奥底には障害者は弱者、 障害を持つことは可哀想なことという考えがあります。 でも、これは一朝一夕では解決しない問題でしょう。 やはり、長塚さんのように本として出版なさって 理解してもらうことも 重要な働きかけでしょう。 障害を持つ人々が外に出て交流を持つことも大切なこと。 その橋渡しをする団体も大切な存在です。 私は知的障害を持つ子どもたちと関わりのある仕事をしているので、 そのことは痛切に感じます。 そして、行政サイドからのサポートももっともっと 充実したものになってほしいです。 ノーマライゼーションやインクルージョンの本来の考え方が 日本社会に浸透するには後何年かかるのかなぁ。 8年前、身障者の母を連れてカナダへ家族旅行に出かけました。 到着したトロント空港でタクシーを待っていると 最初にやってきたタクシーの運転手が、 車いすに乗った母を見て「もう少し待ってて」と 車いす専用のタクシーを手配してくれました。 暫くすると車いすごと乗せることが出来るタクシーがやってきました。 いちいち車いすを降りて難儀することなく ホテルに到着することができました。 日本もそんな障害者に優しい社会になってほしいです。 長文失礼いたしました。 グリンデルさん
丁寧なコメントをいただきましてありがとうございます。 障害者の方の生の声というのは普段の生活の上ではなかなか届きにくいものなんでしょうね。 この本を読んで初めて知ることも多く、障害者の方の心の内に耳を傾けることを今まであまりしてこなかった自分を反省しました。 海外に行くと、ハンディキャップを持った方への介助をすすんでやってくれる方の多さに驚くという話はよく聞きますね。 一般市民がそういうことを特別なことでなく当り前の行為として実践される社会であってほしいと思うと同時にそれを作るのは私たち一人一人の意識であり、きれいごとの言葉でなく姿勢として子供に見せていくことが大切なのかもしれません。 あらあ!さっちゃん、お母さんになっていたのね。
知らなかった! さっちゃんのまほうのては理事長の講座でいつも泣いちゃうのよ。一度だけ自分の講座で読んだのね。で、なかしちゃったわ。 そうよね、この絵本が出たの、私がまだ保育士のころだったから、さっちゃんがおかあさんになっても おかしくはないわよね。 ああ、年取ったなあ。わたし。
【2008/03/25 23:09】
URL | はなもよう #-[ 編集]
はなもようさん
先天性四肢障害者の会は現在も積極的に活動なさっているようですね。それも『さっちゃんのまほうのて』という絵本の力が大きいのではないかと思います。作者の方、私よりも年下だけど同年代。そういう意味でも親近感がわき、とても励まされる本でした。 ![]() |
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